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政治と暴力(三島由紀夫/赤報隊)
渡辺文樹の巡回上映が大阪にやってきた。
そのおどろおどろしい見世物精神にあふれたコピーのついたポスターをたまに街で見かけながらも、いままで実際に上映会に出かける機会がなかったのだけど、今回ちょうど休みの日に当たっていたので、時機到来と雨の中、崇禅寺の飛鳥人権文化センター大ホールに出かけてきました。
金正日
渡辺文樹は80年代初頭に自主映画から登場して注目を集めながら、そのスキャンダラスな作風でメジャーの配給を拒まれ、以降20年以上にわたり、天皇制・戦争責任・軍産複合・差別・地域社会の閉鎖性といったタブーを恐れぬ作品を撮り上げ、時に右翼の妨害にあい公安の監視を受け、時に会場からキャンセルされながら自ら映写機を持って全国を巡り自主上映し続ける唯一無二の映画作家だ。
今回は7/7・8の2日間に渡り、新作「金正日」と1996年の「罵詈雑言」をはじめとする過去作5作を入れ替えで上映するプログラムで、初日の最初に上映された「三島由紀夫」と「赤報隊」の2本(実は2本で「政治と暴力」という1作品)を見てきました。

10分くらい前に会場に着くと、奥さんや2人の娘さん(小学校低学年と幼稚園くらい)が受付やチラシの準備をしていて、なかなかDIYでいい感じ。上映予定時間を回った頃にようやく受付が始まり、チケットを買います。1作ずつそれぞれの作品のチケットがちゃんと準備されています(色違いなだけのような気もしますが)。
ホール内
会場に入ると、50くらいの恰幅のいい男性が映写機のチェック中、たぶんこれが渡辺監督ご自身。ちょっと驚いたのは、映写設備も音響設備も会場備え付けのものを使わず、完全に自前で持ち込んでセッティングしているっぽいところ。上映予定時間を回っているけれどなかなか準備が整わず、「予告編がわりの音声を流します」とのアナウンスで流されたのは冒頭部分のサウンドトラックw
平日の午前中と言うこともあり、また大阪は今年の2月に一度来ているためか、お客さんは300人くらいははいりそうな大ホールに15人くらいというちょっと寂しい入り。
15分ほど押しで、カントクの前説に続いて上映された本編は、タイトルもないし、音楽もほとんどついてないモノクロの(途中意味もなくカラーのショットが混じるけれど)無愛想な前後編3時間半に及ぶ長い長いフィルムだったのだけど、これが想像した以上におもしろかった。アクションシーンもないわけではないけれど、印象に残っているのは、長い台詞をしゃべり続ける役者たちのアップだ。監督自身が演じる主人公も含め、素人役者の時おり聞き取れなかったり、つっかえたり、とちったりしている芝居をリテイクせずにそのまま使っているのだけれど、それが逆に芝居くささではなくリアリティを感じさせることになっている。
今回の作品については、名著「興行師たちの映画史」でも渡辺文樹を1章を割いて紹介している柳下毅一郎がすでにブログに適切なレビューを書いていて僕なんかが付け加えることもないのだけど、その中で柳下が言うように、渡辺文樹の映画は「顔」の映画だ。いやどの素人俳優も見事に銀行頭取の、右翼の、新聞記者の、自衛官の、官僚の顔をしていて、この長い長い昭和裏面史のややこしい話を、雑な編集のこんがらがりそうなフラッシュバックの構成にもかかわらず、最後まで観続けられたのは、ひとえに登場人物を印象付ける顔のインパクトのおかげだと思う。いやあしかし、映画中の現時点でも10年くらい時間が経過しているのに、さっぱり登場人物の年齢が見た目変わらないんだものw
猛烈に風が吹きつける中で体験入隊の三島に主人公が「平岡、走れ!」と怒鳴りつけるシーンとか、印象に残るシーンやショットはけっこうあるのだけど、なにより後編「赤報隊」中盤、主人公が娘・息子と口論をするシーンがすごかった。裏の仕事にかまけて家族を省みない主人公に「お父さん、いったい何をやってるのよ」と怒りを見せる娘に対して、ここまであまり人間らしい感情を見せることのなかった主人公が「余計な口出しをするな」的なことを怒鳴り返す。ここまではよくあるシーンだ。ところが、娘はそのままの切実なメロドラマティックなテンションで「お父さんの目指している自衛隊の国軍化が本当に国民が望んでいるものなの!?私たち国民が本当に望んでいるのは平和な民主主義の世の中よ!」と詰め寄り、つかみかかる主人公に、さらに息子が「だいたいお父さんのやったことは結局アメリカの利益にしかなっていないじゃないか!」と割ってはいるにいたって、唖然とするしかない。唖然としながらも、僕は感動してしまった。倒錯した楽しみ方なのだろうか。いや、構図もカット割りもてんで効果的じゃないし、第一主人公の渡辺の芝居がひどすぎる。でもこんなでたらめなシチュエーションで、こんな切迫感のあるシーンを生み出すのは、渡辺文樹の映画しかありえない。

松川事件に始まり、三島事件、平和相銀事件、リクルート事件、赤報隊事件、皇民党事件といった政界・財界・黒社会を巻き込んださまざまな事件を、実在の人物を実名でバシバシ登場させながら(「MISHIMA」なんて目じゃない!)ひとりの男の物語としてつないでいくのだから、これは普通におもしろいです。こんな映画は映画館ではゼッタイに観られない。2本扱いで2000円取られたって、つまんない3D映画観るよりずっと安いし、シネコンでは味わえないスリリングで緩い映画体験も味わえます。
街角で怪しいポスターを見かけたら、ぜひとも駆けつけてみてください。
チラシの数々とチケット

政治と暴力
一部:三島由紀夫(2010年日本/93分/モノクロ/スタンダード)
二部:赤報隊(2010年日本/121分/モノクロ/スタンダード)
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2011/07/12 23:28】 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
> たけちよさん
せいぜいポスターに注意しましょうw
ちなみに、他のレビューをみたりすると、僕が見たこの2作は渡辺作品の中でも一番普通に楽しめる作品のようです。
【2011/07/14 11:28】 URL | takut #-[ 編集] | page top↑
見たいな、こっちにも来ないかなww
【2011/07/13 11:50】 URL | まつだいらたけちよ #-[ 編集] | page top↑
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