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ウッドストックがやってくる
映画の日1000円均一のサービスデーだったので、テアトル梅田でアン・リー監督のウッドストックがやってくるを観てきました。
原作はウッドストックをニューヨーク州の片田舎ホワイトレイクに招致した当人であるエリオット・タイバーによる同名の回顧録で、映画も原作のトーンを生かし、開催地に断られて開催が危ぶまれていた音楽祭の誘致をふとした弾みで引き受けたことから始まる歴史的イベントの内幕を、内気なゲイの若者の成長物語として描いています。
ですからフェスティバルはあくまでイニシエーションとしての「祭り」として描かれており、音楽やアートそのものが人に影響を与えたり、変革することが描かれているわけではありません。そこが不満な人もいると思いますが、フェスティバルという場の持つ魅力はかなり伝わっているのではないでしょうか。
特に前半、フェスに向かって次々と人が集まってきて静かだった田舎町が大騒ぎになっていくさまには、本当にわくわくさせられます。ウッドストック首謀者のヒッピーベンチャー、マイケル・ラングのカリスマぶりや、その一行が乗り込んできてあれよあれよと言う間にフェスティバルを作り上げていく様は爽快ですらあります。
そういう映画なので、ウッドストックのビッグ・アーティストたちの演奏シーンなどは一切ありません。ただ、空気のようにグレイトフル・デッドやカントリー・ジョー・マクドナルドといったアーティストの演奏が遠いステージから流れてくるだけです。
ただ、音楽が契機で人が変わっていくシーンがないわけではありません。主人公が家の裏の湖で裸で水浴びをする大量の若者たちを眺めている時に、遠くから音楽が聞こえてきてフェスティバルの始まりを知り、閉じ込められていた枠から第一歩を踏み出す美しいシーンは前半のクライマックスでしょう。また、最初の晩は途中で知り合ったヒッピーのカップルと始めてのLSDでストーンしてしまいステージまで行き着けなかったエリオットが、2日目は帰還兵の幼馴染ビリーとともにステージを目指すシーンで、かすかに聞こえてくるザ・バンドの「I Shall Be Released」も印象的です。ベトナムで深い心の傷を負い自分自身を見失っていたビリーは、この曲の流れる中で、目にしている風景の中に自らの輝かしい瞬間を思い起こします。「ウッドストック」のドキュメンタリーでもおなじみの「泥スライダー」でコドモのようにはしゃぐ2人、イノセンスな輝きを取り戻し文字通り「解放された」ビリーとエリオットの姿が印象的です。(そういえばドキュメンタリックなシーンのスプリットスクリーンは「ウッドストック」のドキュメンタリーへのオマージュですね)
3日目の会場では雨による漏電で演奏が中断しており、またしてもエリオットはステージを見ることはできません。出合ったマイケルのパートナー、ティーシャの顔には最初出合った時のような輝きはすでにありません。祭りを終え、泥まみれになって家路に着く若者たちの足取りは重く、表情からはフェスが始まる時の高揚感は失せ、不安の影が差しているようにもみえます。
旅立ちを決心したエリオットは、フェスティバルが終わったステージにようやくたどり着きます。撤収作業を呆然と眺めるエリオットの側に、ひとりあいかわらずのカリスマティックな笑みを浮かべたマイケル・ラングが、颯爽と馬にまたがって登場し、「美しいだろ」とゴミだらけのフィールドを指して嘯きます。そして彼の次なる大いなる計画、ローリング・ストーンズを招いたフリーコンサートの計画を告げます。「わお、すげえ」エリオットは素朴に感嘆の声を上げますが、我々はその後の顛末を知っています。人生の旅立ちをただただ輝かしいハッピーなだけのものと描かずに、アイロニックな不安感を漂わせる描き方には感心しました。
エンドタイトルに流れるのは、69年のウッドストックのコンサートで最初に登場した黒人フォークシンガー、リッチー・ヘヴンスが、時間つなぎに黒人霊歌を元に即興で歌い続けたという「フリーダム」。なんと新録ヴァージョンのようです。「自由であることの不安と恍惚」と言う言葉を思い付きました。

原題:Taking Woodstock
(2009年アメリカ/121分/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル)
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2011/02/01 16:44】 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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