鉄男 THE BULLET MAN
梅田ブルク7のシアター4で塚本晋也監督の新作鉄男THE BULLET MANを見てきました。(注・ネタバレぽいことがあるかもです)

「鉄男」1作目は確か大学生のときだったかなあ、2作目も見たと思うんだけどよく覚えていない。確かやたらに長ったらしく感じたんだ。今回の第3作は70分という短いサイズでこれは特筆すべきことでしょう。
物語は東京で働く心優しきアメリカ人ビジネスマンが愛する息子を殺された怒りで鉄男に変貌し、犯人の謎の男(もちろん塚本晋也本人!)や彼を追う謎の組織と戦うという話で、この辺の基本路線は過去作と変わりません。監督・脚本・撮影・美術・特殊造形・編集まで自分でこなし、主演までするというまさに塚本晋也のライフワークともいうべきプライベート・ピクチャーですが、主人公が鉄男に変身するバックグラウンドについての説明がコンパクトに整備されているなどの洗練が見られます。たとえばこういうすべてのパートをコントロールして、テーマ的にも映像的にも、この人が作ったら一見してこの人の映画とわかるという意味で、デイヴィッド・リンチなんかと同じような種類の映画作家だと思いますが、一気にエンタテイメントとして見せてしまう力技は塚本監督ならではのものだと思います。
第一作の田口トモロヲの鉄男のドリルを思い出すまでもなく、鉄の武器へのメタモルフォーゼは男性性(もっと露骨に言えば男根)のメタファーです。そうすると毎回繰り返される塚本晋也演じる謎の男との対決には自己愛もしくはホモセクシュアルな意味合いも読み取れる。「ファイトクラブ」のエド・ノートンとブラピの関係ね。
クライマックスでは主人公はヒロインとの愛を選び、怒りを暴発させることなく分身である塚本晋也と統合して昇華するというちょっときれいすぎるまとめ方になっているのだけど、映像的にはちゃんと射精にあたるカタストロフを幻視させているので文句はないです。おもしろかった。
いつもながらヒロインの趣味がいいなあ。美人でスタイルが良くて。父親宅で組織と一戦交えたあとで半分鉄男にメタモルフォーゼした主人公に彼女が寄り添う短いシーンのエロティシズム。欲をいえばもうちょっと濃厚なカラミがあったらと思うんですが。
「鉄男」以来塚本晋也の世界には欠かせない存在となっている石川忠のインダストリアルな音楽、やっぱり劇場で大音量で聴くのがいいですよ。エンドクレジットを見てたらどうもエンドタイトルの曲はなんとナイン・インチ・ネイルによるオリジナル曲だったようなのだが、別にその部分だけ凄いわけではないです。

(2009年日本/71分/カラー/ヨーロピアンビスタサイズ/ドルビーデジタル)
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テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2010/05/27 23:21】 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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