ジョゼと虎と魚たち
帰れ言われて帰るような奴は帰れ!

WOWOWで犬童一心監督の「ジョゼと虎と魚たち」を見た。
最近はやりの、難病で死んだりする「純愛」ものだとか、めがねをかけた人たちがフィンランドで食堂やったりするミニマル「いやし」系の日本映画を勝手にイメージしていて見てなかったのだけど、ぜんぜん違っていて、胸に迫るいい映画でした。

祖母の押す乳母車に乗せられての深夜の外出と、祖母が拾ってくる本だけが外界との接点という足の不自由な少女と、どこにえもいるような軟弱大学生がふとした弾みで出会って…というおはなし。池脇千鶴の演じるヒロインは、ばばあの拾ってきたサガンの小説から自分のことを「ジョゼ」と呼ぶ、ちょっと浮世離れした、一歩間違えるとただの痛いキャラクター。だけど「こわれもんやさかい世間に顔向けでけへん」と言って彼女を外に出そうとしないヘンコで厳しい祖母に育てられた、という設定にリアリティを持たせる細かい演出(料理がうまい、ばばあ譲りの達者な大阪弁をちょっとしわがれたしゃべり方でしゃべる、など)に池脇千鶴がきっちり応えていて、天真爛漫な無邪気さと孤独を飲み込んだ芯の強さを合わせ持つ魅力的なヒロインとなっている。
主人公のツマブキ君は、スケベでそこそこ優しい普通の男子。上野樹里演じる同級生ともそれなりにうまいことやりながら「ジョゼ」に惹かれていくのだが、ある日ばばあに「二度と来るな」(=彼女の世界に安易に踏み込むな)と言われ追い返される。ばばあの死で話は急展開する。心配して駆けつけた主人公に彼女が投げつけるのが冒頭の言葉で、このあと「うそや…帰らんといて」と続く。40過ぎの親父としては、あかんお前にそれなりの覚悟はあるんかと声をかけてやりたい気持ちもあるけれど、でも、もうこら行くしかないですよね。行っちゃうんです。それもよくわかる。
当然のことながらふたりの生活は長くは続かず、結局主人公は彼女の元を去る(このあたりのツマブキくんのサイテーぶりもなかなかいい)。短いジョゼとの幸せな日々が残したのは数枚の写真と…きっとこれからずっと主人公が抱え続けることになる「痛み」だろう。
ラストの「ジョゼ」の姿に救いはあるけれど、男としては主人公の情けない姿が胸に迫るのだ。


かといって「メゾン・ド・ヒミコ」には依然食指が動かないのだけど、どうなんでしょうか?
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テーマ:今日観た映画 - ジャンル:映画

【2007/12/08 01:39】 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
お もとさん、コメ毎度ありがとうございます。
泣いて許してもらえるならケーサツいらんわい、みたいな(←別に犯罪犯したわけじゃないって)。でもあの情けなさは身につまされてよかったです。

そうなんですよねえ、「メゾンドヒミコ」、「かもめ食堂」系の匂いがプンプンするのがちょっと手を出せない理由なのですよ。
「きょうのできごと」は柴崎友香原作ですね。1冊読んだのが面白かったからちょっと興味があるかも、あ、ツマブキくんか。


ところで、携帯版にある「タイトル」ってPCのコメントには表示されないんですね。いったい何のためにあるんだろ。
【2007/12/11 21:32】 URL | takut #-[ 編集] | page top↑
こんばんわ。
ツマブキのサイテーな逃げ方は当時の彼女と論争を巻き起こしました。
僕からみると、『やっぱりなー、まぁしょうがないかなぁ』的な視点でしたが、彼女は『あの最後に一人で泣いたシーンをみて全部許せた』みたいなことを言ってました。
それってツマブキだからでしょ。とはあえてつっこみませんでした。

メゾンドヒミコの柴崎コウはなかなかいいです。県庁の星とキャラがいっしょです(いつでも等身大?)。民さんのオカマぶりもなかなかリアルです。ただ、この映画もオチがないというかミニマルです。全体的に回春度低めです。
きょうの出来事は回春度高めです。
【2007/12/09 22:54】 URL | #-[ 編集] | page top↑
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