文学日和
大手芸能プロダクションであるスターダストの映像部門であるスターダストピクチャーズが出しているSDP Bunkoについて以前取り上げたことがあった。著作権切れの日本の近代文学に自社タレントのグラビアをつけた文庫シリーズなんだけど、今年の正月に男子のグラビアをつけた「坊ちゃん」と「正義と微笑」が出た後見かけなかったんで、さすがにやめたのかと思ってたら、7月末に新刊が出ていた。グラビアは女子に戻り、今回は「夢」「果実」という2冊のアンソロジー。安くて読みやすそうなんで時間つぶしについ買ってしまった。
」の方は漱石の「夢十夜」にはじまり、有島武郎、芥川龍之介、岡本かの子、森鴎外、与謝野晶子、萩原朔太郎、横光利一といったメンツによる「夢」をテーマにした短編・エッセーを集めている。「夢十夜」は圧倒的に面白いな。小説では芥川があからさまに変態ぽくて面白かった。有島武郎はストリンドベルクの童話の翻訳。森鴎外は医者らしく、海外の学術雑誌の論文の抜粋、「陰部の刺激と老人のリューマチ性睾丸炎の夢は猥褻で射精を伴う」(原文文語文)んだって。あと与謝野晶子、朔太郎、横光は短いエッセイやアフォリズムっぽい文で正直かったるい。横光利一の最後の文が「夢の話というものは、一人がすると、他の者が必ずしたくなる。すると、前に話した者は必ず退屈しだすのだ。なぜかといえば、それは夢にすぎないからだ。」と実もふたもなくオチがついた感じ。編集者の悪意を感じる。
果実」の方は梶井基次郎「檸檬」、太宰治「桜桃」といった大ネタを中心に、宮本百合子、有島武郎(ほんとにこの文庫の編集の人有島武郎好きだね)、小山内薫、宮澤賢治、林芙美子、芥川龍之介の「果物」をテーマにした短編を集めてる。こっちはまだ読みかけだけど、宮本百合子が意外に瑞々しくってよかったり、初めて読んだ「桜桃」が実にうまく書けたひどい話だったりなかなか楽しめる。多分このシリーズ買って中身読んでる人なんてそんなにいないのかもしれないけど、日本の文学、なかなかエンターテイニングですぜ。
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テーマ:最近読んだ本 - ジャンル:本・雑誌

【2009/08/15 11:32】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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