無能の人
「苦節十年記/旅籠の思い出」 (ちくま文庫)の流れでちくま文庫の「つげ義春作品コレクション」のシリーズを読んでいる。
以前読んでいる作品も多いのだけど、各巻ごとにテーマごとにまとめられているため、僕のように後追いでつげ義春を読んだ者にとってはつげ漫画の全体像がよく見えて面白い。

まずは「無能の人」のシリーズや80年代の町田時代の私小説的作品を集めた「近所の景色/無能の人」
「無能の人」は竹中直人監督で映画化されて、あれも悪くなかったけど、竹中直人の人の良さが前面に出ている感じ。原作の方がもっと寂寥感がにじみ出ている。
そしてやはり70年代から80年代に書かれた自伝的連作を集めた「大場電気鍍金工業所/やもり」
「苦節十年記/旅籠の思い出」 に収められたエッセイにも描かれていた少年時代の鍍金工場でのエピソードや、密航未遂事件、自殺未遂などが淡々としたタッチで描かれる。もちろん作品化するにあたっての脚色はあるのかもしれないが、基本的には淡々と事実を連ねているような描き方なのでよりいっそう真に迫った凄みがある。
そして前にも書いたけど、当時すでにつげ義春は伝説的なカルト作家で、僕もいっちょ前に「ねじ式」とか読んでいたのに、この頃のつげの作品はリアルタイムでまったく読んでいなかったというのにちょっと驚いた。当時漫画はニューウェイヴとかいってサブカルチャーの中でも最先端ったのだが、そんな文脈の中でつげに当時の作品が評価されていたのを見たことがないような気がする。

60年代~70年代の「旅もの」を集めた「紅い花/やなぎ屋主人」。これは普通に面白い。良く出来た作品ばかりで、まさに古典です。つげ義春入門にはまずこの一冊からがいいんじゃないでしょうか。

この機会に、とずっと以前に録画していた山下敦弘監督の「リアリズムの宿」を見る。「リアリズムの宿」「会津の釣り宿」のエピソードは確かに使われているが、これがつげの世界とどの程度近いものなのかは正直なところよくわからない。でも間違いなく山下敦弘の世界ではあるなあ。このちょっと引いた感じの笑いのセンス、すごく面白かった(このへんはつげの世界とも微妙に相性がいいみたい)。たとえば、男が二人、冬の海を眺めている遠景、画面下のほうからふたりの方に裸の女が駆けてくる、あわてて逃げ出すふたり…なんて絶妙なシーン。おっぱい見れなかったのは残念だけど。
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テーマ:マンガ - ジャンル:本・雑誌

【2009/04/20 00:13】 | | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
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コメント
>こいずみきょうかさん
あーそうですよね。
じゃ、やっぱりあんな女子高生いたりすんですか?イイッスねえ!オパーイ。
【2009/04/22 01:12】 URL | takut #-[ 編集] | page top↑
「リアリズムの宿」いいよね。
私のよく知ってる場所でロケしてて、
うちの近所の海岸も映ってます。
【2009/04/21 20:14】 URL | こいずみきょうか #-[ 編集] | page top↑
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