戸川純(11/16、梅田AKASO)
最近Vampilliaとの共演もあって耳にする機会が時々あったので、一度どんなライヴをやっているのか見てみようと軽い気持ちでチケットを取った。ライヴはたしか80年代前半に1、2回見たはず。音源に至っては90年代以降はほとんど聞いていない。以前と見違えるようになっているとか、全然歌えないとか断片的な情報は耳にしているが詳しい事情は良く知らない。
ここしばらく毎年この時期にここAKASOでワンマンをやっているようなので、ずっと彼女の活動を見守り続けて毎年ライヴに参加されている方にとってはなにをいまさらそんなことって感じかもしれないけれど、以下はそういう本当に昔の戸川純しか知らない人間の感想です。
akaso

「これでも少しだけ痩せたんですよ」なんていうMCに笑っていいものかどうか戸惑ってしまうくらいには、それなりの体形で、腰を痛めてリハビリ中とのことで、基本椅子に腰かけて譜面台を見ながら歌うスタイル。あとでネットで調べた未確定情報では、2006年に腰と足を骨折した際に医者に処方された食欲増進剤の影響で太ってしまったらしい。来ているお客さんはそのあたりの事情は知っているのだろう、メンバー紹介で戸川さんが立ち上がった瞬間に「クララが立った」的に歓声が上がったりなかなか暖かい。薬の副作用かちょっと呂律が怪しくなる時があってMCで早口になると何を言っているかわからなかったり、アップテンポの曲になると歌詞がよく聞き取れかったりする。ただ歌唱自体はそれなりに高音もでているし伸びもある。特に本人曰く「シックな曲」を集めた前半は、ほとんど初めて聞く曲だったにもかかわらず、Yapoosメンバーを中心としたバンドの手堅い演奏とともに戸川さんの歌の魅力にじっくりと向き合えるセットだった。ファルセットも交えながら歌われたフォークロア調の曲が良かったのだけど、後で調べたら平沢進のカヴァーだった。MCも聞きなれると昔ながらの純ちゃんの喋りで、しゃべり出したら止まらないのがおかしい。セットリストの順番がおかしいんじゃないかと言いだしたり、そんな後で歌われた「オーロラB」が素晴らしかった。Vampilliaとの共演で歌われた「lilac」も一味違うバンドアレンジで歌われて、染みる。

休憩を挟んで後半、アップテンポの曲を2曲演奏したのち、あとは僕でも知っている初期からの代表曲の連続だった。戸川さんいわく「わたしが世に出るきっかけになった「懐メロ声」」で歌われる細野晴臣作曲の「夢見る約束」が個人的に嬉しかった。そして「蛹化の女」「諦念プシガンガ」は特に丁寧に歌われる。「諦念プシガンガ」なんて82年に「玉姫様」で聞いたときはいったいこの子は何を歌っているのかと意味が分からなかったのだけど、今となっては有無を言わせぬ迫力があるから不思議だ。メリーさんのアコーディオンやBERAさんのアコギなどのバッキングも見事で個人的にはこの日のベストトラックだったと思う。さらにパンキーにアレンジされた「バージンブルース」で会場を沸かせて、ここからは「母子受精」「バーバラセクソロイド」「電車でGO」とアップテンポのヒット曲を連発する。「電車でGO」ではおもむろに立ち上がり、自分のいる上手の方まで来て歌ってくれた!「電車でGO」の、歌詞とリンクする戸川さんの強めの子供声が大好きなんだ、実際には声も疲れてきていたしちょっと脳内補正ぎみだったかもしれないけど。最後「好き好き大好き」になるとかなり高音がヘロってしまってやけくそ気味に爆裂して終わる。

アンコール。譜面台や椅子が片づけられて、バンドの長いイントロのジャムが続くなか戸川さんが登場、タテノリのパンクのビートが刻まれドスの効いた声で歌いだされたのは、もちろん「パンク蛹化の女」。ステージ上を左右に動きまわり、最後はステージの真ん中に座りこんで、枯れ果てててしまった声で絶叫する。
ごく控えめに言って壮絶だった。おぼろげな30年前の記憶を手繰り寄せると、おそらく「玉姫様」のツアーでこのバナナホールにやってきたときか翌年ヤプーズで厚生年金にやってきたときに、あるいは両方で彼女のライヴを見ているのだけど、おそらく今よりずっとしっかり声も出て溌剌とした動きでパンクを演じていた当時の「パンク蛹化の女」とは全く違う、生々しい力が今日のパフォーマンスにはあった。パンクだ。
[セットリスト]
戸川純 2016/11/18 umeda AKASO
1. コンドルが飛んでくる
2. ヴィールス
3. ヒステリヤ
4. 肉屋のように
5. 赤い戦車
6. 金星
7. 12階の一番奥
8. オーロラ B
9. lilac
10. フリートーキング
(休憩)
11. Men's JUNAN
12. ヒス
13. 眼球綺譚
14. 夢見る約束
15. 蛹化の女
16. 諦念プシガンガ
17. バージンブルース
18 母子受精
19. バーバラ・セクソロイド
20. 電車でGO
21. 好き好き大好き
(アンコール)
22. パンク蛹化の女
戸川純(Vo)
中原信雄(B)、ライオン・メリィ(Key)、矢壁アツノブ(Dr)、石塚 “BERA” 伯広(G)
ゲスト:山口慎一(Key:YAPOOS,Coherence)
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テーマ:ライヴレポ・感想 - ジャンル:音楽

【2016/11/17 16:22】 | ライヴ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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