女性アイドルソングベスト20(1980-1989)
「レコード・コレクターズ」11月号の80年代女性アイドル特集が出ました。
自分がリアルタイムでアイドルにハマっていた時代なので、ランキング見ながら同感したりなぜこの曲が入ってないんだと思ったり、たいへん楽しんでいます。
と、いうことで自分でも選んでみました。レココレの選者は30曲だけど、20曲。
条件はレココレと同じく80年代にシングルリリースされた女性アイドルのシングル曲のA面曲、オリコン40位以内というのは調べられなかったのでパスですが、そんなマニアックな曲はあげてないのでたぶん大丈夫かと。

1.TVの国からキラキラ(松本伊代)
2.迷宮のアンドローラ(小泉今日子)
3.スローモーション(中森明菜)
4.夏の雫(三田寛子)
5.夏色のナンシー(早見優)
6.夢見るSeason(伊藤つかさ)
7.時をかける少女(原田知世)
8.メインテーマ(薬師丸ひろ子)
9.蒼いフォトグラフ(松田聖子)
10.ガラスの林檎(松田聖子)
11.じゃあね(おニャン子クラブ)
12.冬のオペラグラス(新田恵利)
13.バレンタイン・キッス(国生さゆりwithおニャン子クラブ)
14.青いスタスィオン(河合その子)
15.Love Fair(岡田有希子)
16.素直になってダーリン(少女隊)
17.プラスティック(奥田圭子)
18.恋のKNOW-HOW(松本伊代)
19.TATTOO(中森明菜)
20.Fade Out(小泉今日子)

順位はあまり関係ありません。どちらかといえば流れ重視です。
ぜひプレイリストにしてみて下さい。

まずは一番好きだった82年組の曲を5曲集めてみました。
中で一番好きだったのは松本伊代でした。この曲や「伊代はまだ16だから」で有名なデビュー曲「センチメンタルジャーニー」といったメタなガジェット感覚にあふれた曲を、あの鼻にかかった独特なちょっとハスキーな声でさらっと歌いこなす、われ関せずといった感じの涼しげなたたずまいにシビレました。自意識のまったく感じられない自然体すぎるところが小泉今日子とその後の進路を大きく分けることになったのかと今になれば思います。

その小泉今日子、髪の毛が短くなったこのころの曲は「まっ赤な女の子」でも「渚のはいから人魚」でもどれも勢いがあって同じくらい大好きなんですが、あえてレココレでも選ばれなかったこの曲をあげたのは、マイナー調の曲で半音ぐらい下からずり上がるよく伸びる鼻にかかった高音の魅力が一番出てると思ったからです。

中森明菜は2曲目の「少女A」のツッパリ路線はあまり好きじゃないなあなんて言ってたのですが、以降曲を出すごとに、あっという間に歌手として他のアイドルたちとは別のステージに行ってしまったような気がしますテレビ番組で見るたびに「かっけーなー」と思ってました。

82年組はほかにもたくさんアイドルはいたんですが、京都出身ということもあって三田寛子が贔屓でした。特に陽水の曲に阿木燿子が詞を付けたデビュー曲「駆けてきた処女」とこの曲は、複雑な構成の曲を安定した歌唱力で溌剌と歌いこなしていて別格です。歌唱力もありルックスも良かったのに、村下孝蔵の「初恋」などというダサい曲で小ヒットをとばしたのちは、おっとりとした天然ボケ風味のキャラクターが重宝されてテレビタレントとしての活躍が中心になり、歌舞伎役者と結婚して梨園の妻となってしまいました。

伊藤つかさは81年ぼデビュー当初は中学生にセーラー服着せて「少女人形」なんて曲(それも南こうせつのダサい曲)歌わせるセンスがどうにも嫌だったんですが、原由子によるこのサードシングルは名曲だと思います。実はアルバム「さよならこんにちは」に収められた大村憲司アレンジのバージョンがすごくいいんです。このアルバムには「TVの国からキラキラ」と同じ糸井重里作詞による伊代ちゃんを超えるセリフが悶絶の「恋はルンルン」をはじめ名曲揃いです。

80年代アイドルを語るときに角川3人娘を外すわけにはいかないでしょう。
薬師丸ひろ子はそれこそ「野生の証明」でデビューした時からのファンでしたし、原田知世にしても角川映画のヒロインとしての活動を抜きにしては語れませんから、ほかのアイドルとはちょっと違った受容をしていたと思います。原田知世は初期のシングルでは唯一映画とは関係ない「ダンデライオン」をあげようかとも思ったのですが、ここはやはりあの映画のエンドロールと込みでこの曲にしました。レココレベストの1位はちょっと意外でしたが、文句はありません。
薬師丸ひろ子はどの曲もクオリティが高くイイ曲ばかりで甲乙つけがたいです。
私は映画女優としては、忘れられがちな渡辺典子が贔屓だったのですが、またその話は別の機会に。

松田聖子は歌が上手くてサウンドも完璧、中森明菜に先んじて、いつもひとつ抜けたところにいました。そこが自分にとっての偏愛の対象にならなかった所以だと思います。まあルックスがあまり好きじゃなかったというのはあるんですが。とはいえ、名曲の多さは否めないので、そんな中で特に好きな2曲をあげました。細野さんの「ガラスの林檎」の透き通ったサウンドメイキング、イントロのシンセのフレーズに続くギターの音が鳴るたびにゾクゾクします。

80年代中期はおニャン子クラブの時代でした。おニャン子のアイドル史における意味合いとか大層なことを言い出すとキリがないので、ここでは割愛しますが、モー娘。からAKBに至る大人数グループアイドルの原点がここにあったのは確かです。あと、毎日テレビの夕方の公開生放送で歌っているという「ライブ性」も今につながるところだと思います。
ちょうどおニャン子が一番人気のあった頃、私は大学5年目で授業もほとんどなかったので駅前の貸しレコード屋で毎日アルバイトしており、おかげでおニャン子の曲はシングルもアルバムもひととおり聞いています。私は実はおニャン子本体のシングルは「ちょっとエッチな歌を「女子高生」が明るく歌う」というコンセプトが好きになれなかったのですが、アルバムはメンバーの声質の生きた佳曲・名曲が多く、大好きでした。セカンドアルバム「夢カタログ」のラストの「夢の花束」はメンバー全員が入れ替わりで歌うドラマチックなフィナーレなのですが、シンセの美しくも安いストリングスのイントロに導かれて始まる歌いだしのユニゾンの、ガサガサとして不揃いな感じ、これがこの期に及んで今のライブアイドルにひかれてしまうに至る私自身の原点です。(おニャン子の方法論を受け継いで成功したAKBに私があまり惹かれないのは、音源やライブの歌唱があまりに小奇麗すぎるところなのです)

サンミュージックのアイドルは、早見優にしても松田聖子にしてもまたその後の酒井法子にしても、まっすぐに元気よく明るいという昔ながらのアイドル像があまり興味を持てなかったのですが、そんな中で岡田有希子に関してはその高い歌唱力と裏腹な影の薄さ、線の細さがデビュー当初から気になっていました。「Love Fair」はなぜかレココレのベストでは誰も上げていないのですが、かしぶち哲郎による甘い憂いに満ちた曲も、切なく美しい澄んだハイトーンボイスに始まる彼女の歌唱も不思議な色気があり文句のつけようなく素晴らしいです。ただ私は、歌番組で歌う彼女の仮面のような微笑みと、とってつけたような振り付けのアンバランスさになにより心をかき乱されました。この後の「くちびるネットワーク」が彼女の最大のヒットとなったのですが、なるほど歌唱に文句のつけようはありませんでしたが、松田聖子のおさがりのような曲でアイドル然として振舞う彼女の姿にはどうも違和感が拭えませんでした。松田聖子のようにペルソナを自分自身として演じきれるほどタフでなかったのが、彼女の不幸だったのかもしれません。でもそこが彼女の魅力でもあったのですけれど。坂本龍一による名曲「Wonder Trip Lover」の入った彼女の最後のアルバム「ヴィーナス誕生」は生涯のフェイバリットの1枚です。

おニャン子登場以降のアイドルについても歌番組で目にしていましたし、菊池桃子も斉藤由貴も南野陽子も風間三姉妹も主演映画やテレビドラマでは見ていましたが、結局私にとっての80年代アイドルはおニャン子で終わってしまっていたようです。ひとつは自分自身が87年に大学を卒業してモラトリアムに一応の区切りを付けたという個人的事情もありますが、おニャン子の差異果てに行きついた先に、旧来のような形でのアイドルはもう存在しえないという気分になっていたのだと思います。86年の岡田有希子の死は私自身のアイドルに向けるまなざしに変容を迫っていたのだと思います。

そういうわけで最後はやっぱり82年組です。彼女たちの80年代の到達点を3曲並べてみました。松本伊代はポップなサウンドの佳曲を残しながら、80年代後半にはあまり歌わなくなっていました。中森明菜は歌姫として独自の位置をゆるぎないものにしているように見えました―少なくとも88年に7月に自殺未遂事件を起こして活動休止するまでは。小泉今日子は時代のアイコンとして「アイドル」を軽々と乗り越えてしまいました。
ぜひリンク先のパフォーマンスもご覧下さい。特に活動休止直前の絶頂期の中森明菜は鼻血が出そうなくらいカッコいいです。

このリストにYOUTUBEのリンクを張ろうといろいろ探していて思ったのは、80年代のアイドルを支えていたのは、ひとつはテレビの歌番組の存在だったんだということです。当時は「ザ・ベストテン」や「トップ・テン」といったゴールデンタイムのベストテン番組を筆頭にNHKの公開番組「レッツゴーヤング」や夜10時台のフジテレビの「夜のヒットスタジオ」といった歌番組がたくさんありました。たとえばキョンキョン目当てにチャンネルを合わせると、松田聖子を見てあーいい曲だなあと思ったり、明菜さんのパフォーマンスにかっこええなあと感心したりする機会が週に何回もあるわけです。アイドルヲタなら、今でも対バンで何組もアイドルの出るイベントで自分の贔屓のグループ以外に出会うこともあるかもしれませんが、コアなヲタ以外にもそういう機会がいっぱいあったというのは、幸せなことだったと思います。
いまはアイドル産業の収支の在り方も変わってしまって、それはアイドルたちにとってもテレビ局にとってもあまり意味のないことなのかもしれませんが、毎週たくさんのアイドルが出る歌謡番組がいくつかあれば面白いのに、と夢想します。
ハロプロとAKBグループが毎回1つずつ出て、なんだったらジャニーズにひと枠割いてもいいです、あとはももクロとかでんぱ組とかアイドリング!とか東京女子流とかそれなりにメジャーなアイドルやマイナーなアイドルが週替わりで登場して、1組くらいはベルハーとか仮面女子とか私が聞いたこともないような地下アイドルや地方アイドルが突然出て来てびっくりさせるような、そういう番組毎週やってくれないもんですかね。フジテレビとか。


文中に出てきたものも含めて当時好きでよく聞いていた女性アイドルのアルバムを以下に並べておきます。

さよならこんにちは(伊藤つかさ)
バースデイ・アルバム(原田知世)
夢カタログ(おニャン子クラブ)
Canary(松田聖子)
不思議(中森明菜)
センチメンタル・ダンス・クラブ(松本伊代)
躁鬱 SO・UTSU(早瀬優香子)
ヴィーナス誕生(岡田有希子)

だいたい再発されていたはずだと思ってたら、品切れだらけですねえ…。
早瀬優香子がマーケットプレースでも出てこないのはちょとショッキングでした。
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【2014/10/24 15:21】 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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