ギューンのマークが付いていたから須原さんの企画なのかなとは思ったけれど、ベアーズのスケジュール表にはバンド名しか出ていなかったし、そんなイベントタイトルだったとは知らなかったw ギューンの夏祭り、どおりでこの濃いメンツなわけだ。かくれなくてもいいのにw
会場にはJ非常階段のOJO広重さんやNASCACARの中屋浩市さんなど出演者以外のベアーズおなじみのミュージシャンの方々のお顔もちらほら。 ヰタ・セクスアリス イタセクがおもしろいのは、歌で物語を語ろうとしているところで、今なかなかそういうロックのバンドはない。というのは、この間ラジオで町山智浩が「最近の歌謡曲は薄っぺらなわたし語りばかりで、ドラマチックな物語性が失われている」というようなことを言っていたのを聞いて、そういえば、と思ったことなんだけど。ちなみに町山さんがこのとき紹介していたのは面影ラッキーホールです。 イタセクの音楽をさして「演劇的な」などと評されることが時々あって、それは物語性の強い作りこまれた世界をそう呼んでいるだけで、どこも演劇的なんかじゃない、音楽的なだけだ、なんて思っていたんだけど、今回披露された新曲「天井桟敷のように」はまんま寺山修司の天井桟敷への憧れを歌いこんだ歌で、中間部のボーカルの原田さんが「演劇的な」身振りで次々とセリフを語るパートが痛快。寺山の精液と小便のにおいのするねじまがったヤバさのようなものは皆無ながら、「ワンダーランド/アンダーグラウンド/アングラ」と韻を踏みながら寺山的な世界をサイケなワンダーランドとして仕立て上げるイタセクの健全なアングラ嗜好が全開の楽しい曲だった。 復活後のイタセクは、といっても復活前のステージを見たのが10年位前だから怪しいものだけど、以前にも増して、若々しくなっているような気がする。終盤に演奏された「モダン・デカメロン」の性急なぐしゃぐしゃのガレージっぷりったら、笑ってしまうほどかっこよかったよ。 1、ワレワシジン 2. 夢見通りのマリー 3. 遅れてきた男 4. ダンデライオン 5. 天井桟敷のように 6. モダン・デカメロン 7. 性的生活 村岡ゆか 歌の「物語性」ということではこの人、ベースの弾き語りで不思議な世界をうたう村岡さん。 曲ごとに断片的に提示される情報では全体像はつかめないのだけど、今回のライヴで演奏された新しいアルバムの曲は、どうやら、海辺の小屋に暮らす顔を失ったの女性の物語らしい。寓話のようでありながらそれでいて細部に妙にリアルで生々しい身体性を備えた歌の世界が、ループを駆使してていねいに作り出した静謐な音の上で繰り広げられる。終盤に演奏された曲で、目のところだけ穴をあけた紙袋をかぶった「わたし」が「あの人」を求めて山道を上る歌が、素晴らしかった。紙袋を隔てて主人公に触れる月の光や風やあの人の気配によって変わる主人公の心象風景が曲調とともに静かにスイッチして流れていくので、主人公の心情が切なくてたまらなく、そしてどうなってしまうのか息を呑んで見つめることになる。 これが物語のクライマックスかと思ったら、あとで購入したCDを見るとこの後まだ展開があるんだ! 1. 海 2. 動かない女 3. 小屋‐春‐ 4. 小屋‐夏‐ 5. 探しに来たんだ 6. 出口 (CDの歌詞カード見ながら再現しました) シベールの日曜日 マンデルブロー曲線のようなサイケ映像の投射される中登場した「シベールの日曜日」は、ストラトで轟音をかき鳴らしながら歌うg・voとds、bのスリーピースのサイケバンド。 ラリーズみたい、なんていう形容をできるほど裸のラリーズのことは知らないのでやめておくべきだとは思うのだけど、ひずみまくったギターの轟音の上にかぶさる深いエコーに包まれたボーカルはまさしく何枚か聞いたラリーズの音像に近い感触で、これが実際に大音量で体感できるというだけでたいへんな快感だ。 ただ、実際に奏でられているメロディやリズムは僕がぼんやりラリーズのCDで聞くものよりずっとクリアで、またバラエティに富んでいる。最初の曲なんかは一瞬サンタナかと思うような演歌的な泣きのメロディがフィーチャーされていてリズムも民謡のようなビートだし、ジミヘンみたいなファンキーなビートの曲も多くて、そんなときは歌もラリーズと言うよりフリクションのような印象になる。なんとか風というような言葉で片付けられないオリジナルな正調の日本のサイケロックバンドだと思った。 ただバンド名の元になったフランス映画のイメージとはちょっと違うけれど。 1時間の轟音のステージが終わり、アンコールを求める拍手が続くも、客電が点いて終演を告げるBGMが流れる。あれこの曲知ってるな…あ、澪の声やw イントロのベースのフレーズがかっこいい放課後ティータイム「五月雨20ラブ」。さすが須原さんの選曲。 このあとさらに、この日誕生日だったOJOさんにバースデーケーキが用意され、場内で「ハッピーバースデイトゥユー」の合唱が起こったりと、まことにベアーズらしい日でした。
[関連ライヴ]
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