山本精一 アコースティック弾き語り完全コピーライブ (5/27、難波Bears)
いつも6時半開場で7時開演のときは実際に演奏が始まるのは7時半、というのがベアーズ時間なんだけど、7時開場、7時半開演を二重線で消して7時45分開演となっているこの日は何時に演奏が始まるのかな、8時くらいかな、と待っていると、開演予定時刻を厳密に30分ほど過ぎた8時15分ごろ、ようやくステージのセッティングがはじまります。ちらしでは「アコースティック弾き語り」ってなっていたはずでが、サンバーストのストラトとイフェクターを抱えての登場です。ガンっと派手な音させてギター落とさはったり、接続しても音が出なかったりで少々ご機嫌斜めのご様子。無造作にガムテープでボディにシールド固定し、はずしたイフェクター2,3個投げ捨て、譜面台からあたりに散乱した歌詞カードを拾いながらようやくライヴ開始です。
ノイジーに吹き荒れたギターの音が少しずつ収まってそっと歌いだされたのがフォーククルセダーズの「オーブル街」。個人的にフォークルの曲の中では一番好きな曲でもあり、山本さんのボーカルでこの曲を聞けた瞬間にもう普通の精神状態じゃいられなくなってしまいます。
この日は主に60年代から70年代のフォークソングを中心に、山本さんがいままでカヴァーしてきた曲の集大成みたいな選曲で「あの素晴らしい愛をもう一度」「サルビアの花」「時計をとめて」「スカンピン」と、もはや山本さんの定番レパートリーになりつつある名曲の数々が、不意にサイケにうなり揺らめくギターにさりげなく彩られ、眩暈がしそうになります。はじめて聴いた高石友也の「春を待つ少女」や、山本さんのソロ作「なぞなぞ」の「B1のシャケ」の元歌である「砂に消えた涙」と、山本さんポップな美しい曲が本当にお好きなんだなとあらためて感じます。トワ・エ・モア「空よ」なんかは後追いでフォークを掘っていった僕なんかからすると、「フォーク風歌謡」のイメージが強いのですが、山本さんの中でまったく区別なく受け入れられているのがよくわかります。そういえば山本さん、アリスセイラーさんと白いギターでオリジナルのカレッジフォークを歌う「ノアノア」なんてユニットやってはったな。
ただ、この日一番鮮烈だったのは、そういった曲の流れからは少し異色な激しいプロテストソング「腰まで泥まみれ」で、力の入った歌唱と終盤の攻撃的なギターソロに心底シビレました。ピート・シーガーの詞を中川五郎が訳した「ぼくらは腰まで泥まみれ/だがバカは叫ぶ進め」という歌詞は、もちろんこの歌が発表された1967年当時泥沼状態にあったベトナム戦争を念頭に置いたものなのだけど、聞く度にその現在性に慄然とさせられます。
1時間ほどの本編の締めくくりは1曲目の「オーブル街」とともにPhewの「Five Finger Discount」でもカヴァーされてた「夢で逢いましょう」。近づき難い孤高性すら感じさせるPhewの歌唱とは異なり、山本さんの歌はあくまで優しいです。

アンコールはあがた森魚「冬のサナトリウム」で始まります。どうでもいいことなのですが、「サルビアの花」の前にごそごそと歌詞カード探していたのは、たぶん72年の春一番のバージョンのようにこの曲からのメドレーで歌おうと思ってはったのだと思います。結局歌詞カードは見つからず「サルビアの花」単独で歌われたんですが、ここではちみつぱい「僕の幸せ」に続くこれまた泣かせる流れです。
越路吹雪でおなじみの「ろくでなし」は珍しい選曲でしたが、なんと言ってもスピッツのトリビュートアルバムで羅針盤としてカヴァーした「ロビンソン」を「今までほとんどやったことないし、ほんとに難しい」といいながら演奏したのには驚きました。
2回目のアンコールはニール・ヤングの「Don't Cry No Tears」の荒れ狂うギターからジャックス「からっぽの世界」という圧巻の流れで、最後に「We Shall Overcome」で2時間のステージを締めくくりました。

最初のアンコールの時に、いままでやったことのあるカヴァーの曲でということでリクエストの希望を取られたので、思い切って友部正人「どうして旅に出なかったんだ」をリクエストしてみました。結局応えてもらえず、もしかしたら空気読まないリクエストだったのかもしれませんが、友部さんを聞くようになったのは、たぶん2002年にこのベアーズで山本さんによるカヴァーを聴いたからなんです、ぜひもういっぺん聴いてみたかった。ちなみにはちみつぱいも羅針盤に教えてもらったんだった。いろんな音楽を山本さんから教わったなあ。

♪うぃしゃるおーばーかーむと口づさみながら帰路につきました。
「心の底から俺は信じてる/俺たちはいつか乗り越えるだろう」
なんというシンプルで力強い歌詞だろう。
「腰まで泥まみれ」の後、「今が本当の生き地獄ですよ」とさんざん毒づいておられた山本さんなのですが(最後に釘を刺されたので詳細は略w)、こんな歌を最後に持ってこられるあたりが素晴らしいなあと思います。

[セットリスト]
1.オーブル街
2.野の人の野のうた
3.あの素晴らしい愛をもう一度
4.春を待つ少女
5.砂に消えた涙
6.時計をとめて
7.サルビアの花
8.スカンピン
9.空よ
10.腰まで泥まみれ
11.夢で逢いましょう
(アンコール)
12.冬のサナトリウム
13.僕の幸せ
14.上を向いて歩こう
15.ろくでなし
16.ロビンソン
(アンコール2)
17.26番目の秋
18.Don't Cry No Tears
19.からっぽの世界
20.We Shall Overcome
[関連ライヴ](山本ソロなど)
太陽大感謝☆プレ☆祭り~発発発~(2012/3/2、福島 pinebrooklyn)(山本精一&原子力潜水艦)
山本精一と、ゑでぃまぁこん(2012/2/19、扇町ムジカジャポニカ)(山本精一)
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山本精一うたものソロアルバム『PLAYGROUND』レコ発ワンマンライブ(10/10、梅田Shangri-la)(山本精一&The PLAYGROUND)
Presentation67 JB+Play ground(2010/7/10、四条烏丸shin-bi)(Play ground)
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JOJO広重・山本精一・スハラケイゾウの早川義夫大会(2009/9/11、難波BEARS)(山本精一ほか)
PLAY GROUND(2009/8/4、京都磔磔)(Play Ground)
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混沌、そして青空(2008/9/28,扇町ムジカジャポニカ)(山本精一×須原敬三)
FUJI ROCK FESTIVAL 2008~第2日目(2008/7/26、新潟県苗場スキーリゾート)(ザ・トリオdeフォークジャンボリー)
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Stock Room 3rd Anniversary『よるの階段』(京都拾得、8/18)(山本精一と怪獣教室)
"Surf's Up vol.3"(2007/1/6、なんばBears)(山本精一と幽霊バンド)
山本精一と幽霊バンド(2006/11/19、姫路EASE)(山本精一と幽霊バンド)
SONGS vol.1(2006/7/8、新世界BRIDGE)(Phew×山本久土×山本精一)
羅針盤 in Psychedelic Wonder Land(2004/10/15、心斎橋クラブクアトロ) (羅針盤)
※その他の山本精一関連ライヴは左カラムのブログ内検索で「山本精一」を検索ください。
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