昨年ぐらいから活動を再開しているヰタ・セクスアリスがワンマンのライヴを行うというので、ベアーズにでかけてきた。
現在のヰタ・セクスアリスはボーカル原田啓二・ギター奇島残月・ベース須原敬三に、オリジナルのドラマーの伴野健が復帰し、吉田正幸に代わってAyaがキーボードで加入した5人組。AyaさんはHelicoid0222mbの人かな。こうやってメンバーを見て、ファーストからサードまでの羅針盤ってまるまるイタセクだったんだななんてことにいまごろ気がつく。 この日のライヴは3部構成で、第1部は今のところの最新作「モダン・デカメロン」の曲を中心のセット。このアルバムが出た時分のイタセクのライヴは何回か見ているのでおなじみの曲ばかり。このころにはすでに抜けてられたと思うので伴野さんのドラムスはたぶん羅針盤以来なんだけど、ばしっと決まるシャープな感じが気持ちいい。そして個人的にはこのバンドのサウンドのキモはやっぱり須原さんの指弾きで走りまくるベースラインだ。 アルバム未収録のレア曲と3曲の新曲からなる第2部、アップテンポの1曲目「パノラマ・ワールド・ショー」から混沌としたブリッジをはさんで「幻想のリリー」にうつる瞬間がかっこい い。アルバムのヴィジュアルのイメージや、GSやサイケの影響の大きいねじまがった万華鏡のような幻想的なサウンドスタイルから、もっとおどろおどろしいイメージのあった彼らの世界が、ひさしぶりに聞いてみたら、実は意外とまっすぐで健全だったのが今回の発見だった。新曲「性的生活」などはそのタイトルと裏腹に爽やかですらある。この辺のさっぱりしたところが実はイタセクのバンドとしての持ち味なんだろう。個人的にはちょっと物足りないところもあるのだけど。 今回のライヴの本領は、初期のナンバーを中心に演奏された第3部だったっと思う。中盤「カザミドリ」「夢見通りのマリー」と、初期からの代表曲が続けて演奏され、叙情的な歌を性急なビートが煽り立て、バンドのテンションがどんどん上がっていく。「カザミドリ」はかつて一緒によく演奏していた京都のバンド、アンティーク・フォークロアに影響されて作ったとのMCに、ああなるほどな、と思った。アンティーク・フォークロアもリアル70'sのグルーヴ感あふれるかっこいいバンドだった。しっとりと始まってだんだん加速していくワルツのバラード「日時計のたもとで」、そしてラストはガレージにうなりまくる「サーカス」と、あるバンドが仲間たちの歴史を受け継ぎながら年月を重ねてきた重みと底力を感じる圧巻のエンディング。 ピンク・フロイド「See Emily Play」のイタセク流カヴァーを含む4曲のアンコールまで、全24曲、「まだまだ歌いたい歌がある」という原田さんの力強いMCで2時間のライヴが終わった。
<セットリスト>
第1部 モダン・デカメロン 振り子のシーソー シャボン玉 遅れてきた男 オノマトペ 砂時計 ゴーカート 第2部 パノラマ・ワールド・ショー 幻想のリリー 風のダンデライオン 性的生活 ビロードのお人形 ワレワ詩人 第3部 囚人の群れ 君のいる地下室 祝祭は一昼夜 カザミドリ 夢観通りのマリー 日時計のたもとで サーカス アンコール 幻の花 万華鏡のエミリー ピンボール・ゲーム メトロノーム・レッスン (奇島残月さんのブログより) スポンサーサイト
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