早川義夫ソロライブ「線はのびて行くが点は爆発する。」(2/18、塩屋旧グッゲンハイム邸)
塩屋に着いたら、雪が積もっていて驚いた。会場の旧グ邸の庭も雪化粧でいい感じ。

いつものグ邸のライヴに比べると僕よりさらに一回りくらい上の年配の方がいっぱい。早川さんが登場しピアノの前に座って、馴染み深い「サルビアの花」のイントロが流れ出し、うわーんと音が反響し部屋中に広がっていく。ばん、ばん、という音が響いて、どうやら早川さんが足でリズムを取っているらしい。ここグ邸で早川さんのピアノ弾き語りのライヴを見られることの素敵さ。

早川さんのライヴを初めて観たのは長い休止期間を経て再デビューした94年の8月、今は大原簿記の建物になってしまったなんばのW'ohol。この年の秋と次の年にも大阪に来ていて、その3回とも観ている。2000年代にはいってからは02年にバナナホール、03年にベアーズ、04年にフジロックと3年続けて観たあとは僕自身がライヴに通う回数が減ったこともあって、その後グ邸でも2回もライヴをされているのに今回8年ぶりになる。観たどのライヴもそれぞれに強烈な印象があるのだけど、その頃の印象と大きく違って、早川さんすごく軽くならはったな、というのが今回の第一印象。当時どのステージでもほとんどMCらしいMCもなく、異様な緊張感の中次々と黒いサングラスをかけた早川さんがあの深い歌声で突き刺さる歌を繰り出してくる感じだったものな。最初の年なんてアンコールにすら応えられなかった。それが今回は、丸めがねの人のよさそうな笑顔で、曲の間もすごくよくしゃべられる。第2部の登場早々「声とかかけてくれたら嬉しいです」なんてセリフで会場を和ませて「ミータン」に入ったり。早川さんのブログでもちょくちょく顔をのぞかす、お茶目でお調子者な感じ。それは悪くないな、と思った。今思うと、早川さんってすごくシャイな方で、復帰初期のツアーは本当に緊張されていたんだろうと思う。まあそれが「伝説のアーティスト」というオーラを醸し出していたのは確かだけど、当時から、早川さんの歌のすごさの一端は、その歌のかっこ悪さ・ダサさと、そんなかっこ悪さ・ダサさをまっすぐに歌いきってしまうかっこよさ・美しさだと思っていたので、こういうC調(死語w)な早川さんの姿を見ることができたのはうれしかった。

第一部中盤の「純愛」「パパ」の生々しいエロさににドキドキした。どちらも10年前のベアーズでも演奏していた曲だけど、早川さんの歌の説得力は衰えるどころかさらに深まっているようだ。早川さんの歌の言葉に関して言うと、こんな言葉を歌の歌詞で使っていいのかというような、聴く側が気恥ずかしいくらいに率直だったり生硬だったりする言葉が、あの声で歌われると胸に迫ってくる。気恥ずかしさとともに、決してBGMにできない生々しさを持つ音楽、そういう意味で早川義夫は僕の中では豊田道倫と同じカテゴリーに分類されている。

第二部、最近のライヴでの定番らしい渋い渋い「黒の舟唄」のカヴァーをはさんで歌われた「I LOVE HONZI」「父さんへの手紙」は対象への愛情があふれた優しい歌唱が胸に迫る、まさに早川さんの代表曲といっていい2曲。活動再開後の歌は、時に饒舌すぎるのではないかと思うこともあって、「音楽」なんかはほとんど信仰告白のようだ。しかし、この曲からいつものように最後に歌われた「いつか」の突き刺さるような言葉の嵐の中で、いつものように僕は呆然とする。安易な応援歌と違う、厳しく力強いアジテーション。歌われるとおり「美しいものは人を黙らせる」。歌が言葉を聞く者の心に突き立て、何かをかきたてる力を持つ歌手として、早川義夫は僕の中でパティ・スミスや遠藤賢司と同じカテゴリーに属する。

アンコール2回めはリクエストに応えて「あんまりやらないけど」と93年の活動再開の時のアルバム「この世で一番キレイなもの」からシングルカットされた「君のために」。「この曲ちょっと歌謡曲ぽくない?」と早川さんは言うけど、シングルもアルバムも何回も何回も聞きましたよ。僕はこのピアノ弾き語りのセットでは「僕らはひとり」が聞きたかったのだけど、届かなかった。次はぜひ。ああ、でも、次回はベアーズやバナナホールでヰタ・セクスアリスとやった時のようなバンドセットで青臭く生々しい歌を年甲斐もなく荒っぽく歌ってほしいな。
美しさはいやらしさ
終演後、本にサインをいただいた。何か早川さんの言葉の一言でも書いてもらったらよかったのだけど、そんなこと思いもよらなかったな。でも「いやらしさは美しさ」の美しいピンクの見開きにどっしりとサインをいただいて、それだけでじゅうぶん幸せだ。ぼろぼろのブックファーストの紙カバーかけていたのだけど、親切にも「早川書店のカバー貰ってくれた?」と声かけてくださった。いただきましたよ、藤原マキさんのイラストの紙カバー。これ使えないなー。
セットリスト
<第1部>
1.サルビアの花
2.マリアンヌ
3.ラブ・ゼネレーション
4.風月堂
5.純愛
6.パパ
7.グッバイ
8.雪
9.恥ずかしい僕の人生
10.この世で一番キレイなもの
<第2部>
11.猫のミータン
12.悲しい性欲
13.躁と鬱の間で
14.僕の骨
15.あの娘が好きだから
16.I LOVE HONZI
17.黒の舟歌
18.父さんへの手紙
19.音楽
20.いつか
<アンコール1>
21.屋上
22.君でなくちゃだめさ
<アンコール2>
23.君のために
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テーマ:ライヴレポ・感想 - ジャンル:音楽

【2012/02/23 00:46】 | ライヴ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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