世界の終わりのいずこねこの終わりのはじまり(12/20、渋谷WWW)その2
さて、第二部、いよいよこの日のメインの一つである、映画「世界の終わりのいずこねこ」の上映だ。
映画についてはいろいろ言いたいことはあるが、まずはこの映画がファンによるクラウドファウンディングによって作られた映画だ、ということは押さえておかなくてはならないだろう。これは僕自身も含めてだけど、少なくとも出資者の立場からすれば、元来この映画はいずこねこを無事終わらせるためのプロジェクトなのだ。
僕自身はファン歴も浅いので、パトロンの一人でありながら映画を観るに当たっては割と醒めた目で観てしまってる部分もあり、正直なところを言えば物足りなさもある。特に茉里ちゃん演じる主人公イツ子との対比で非常に重要な役どころであるはずのスウ子(蒼波純)が、いったいなにをやりたいのかがさっぱりわからない点は致命的じゃないかな。蒼波純自身は非常に魅力的なだけに、生かし切れていない感が大きくもったいないなあと思った。
あと、一人の少女の献身的な自己犠牲によって世界が救われるって話は、個人的にもういいやって思ってるところも大きいかも。特にオリジナルがまさにそういう感動的な話だった「魔法少女まどか☆マギカ」が、「新編」でそんな救済を真っ向からひっくり返す人間的な(=悪魔的な)「思い」の力を見せつけててくれた今となっては。
でも、実在のアイドル「いずこねこ」の物語を間近で支え続けた「飼い主」や関係者たちの立場に立つとこの映画はかなり違った意味を持ってくるのだろうな、というのは容易に想像がつく。
謎の伝染病によるカタストロフ以降、隕石の落下による地球滅亡を待ち続ける世界はもちろん原発事故以降の世相のメタファーでもあるのだろうけれど、なによりいずこねこ終了騒動が起こった2月以降の「飼い主」たちの置かれた状況ではなかったか。いまおかしんじ演じる父親と主人公いつこのディスコミュニケーションと和解が映画の後半の一番大きな焦点なのだけど、これなんかいずこねこの生みの親であるプロデューサーサクライさんと茉里ちゃんの関係を投影せざるを得ないわな。
そういうわけで、映画については、本物のいずこねこの物語が終わった後で一般公開された映画を再度じっくり見て、もう一度考えをまとめたい。

休憩をはさんでいよいよ第三部、いずこねこのラストライヴは、まずはスクリーンに映画のシーンをコラージュしたオープニングムービーが流れたのち、おなじみのいずこねこSEとともに元気いっぱいの茉里ちゃんが登場する。
1曲目「rainy irony」、にゃんにゃん言う奇妙なコール&レスポンスをはさみながら、「辛いから前を向かない夢も追いかけてないの願えば叶うことなんかてこともないの行き止まりよ」というアイドル史上おそらく最高に真っ暗な歌詞を、マジかよってくらい溌剌とした振付で明るく歌い踊る茉里ちゃんの姿、これが見たかったんだ。サクライさんの凝った楽曲とペシミスティックな歌の世界と茉里ちゃんのパフォーマンスのギャップの面白さはいずこねこを最初に見た時に目を惹いたポイントではある。でも今回2回目のライヴを見て、僕は茉里ちゃん自身の歌声の適度な湿っぽさと楽曲の世界の相性の良さがいずこねこの最大の魅力だったと、改めて感じさせられた。
この日4曲目の「squal cut」、アコギのカッティングが印象的なイントロのリフに合わせてカクカクとした振りをしながら歌う茉里ちゃんはちょっと金井克子みたいでカッコいい。前半の湿り気のある愁いを帯びた歌唱が、曲が転調してテンポアップするあたりでMCや語りの時に見せる軽い声に移行して、あっけらかんと「にゃあにゃあ」と終わり、不思議なカタルシスを与えてくれる。そういえば、この日の最後のMCで「飼い主」への長めの手紙を涙交じりで披露したのちに、急にケロッと素に戻って見たりする瞬間があって、茉里ちゃんらしいと笑いを誘っていたっけ。こういう歌の世界がライヴのパフォーマンスでもう味わえなくなるのはやはりすごく残念だ。
「e.c.i.n.」や「nostalgie el」ではおなじみのうちわが掲げられていずこねこ独自の「いずこmix」が打たれる。結局最後までちゃんと覚えられず、うちわも角度が悪くてよく見えなかったので、なんとなく合わせる感じで一緒に唱和させていただいた。特に「nostalgie el」では最後の落ちサビで、有志が事前に配った白いサイリウムが一斉に点灯され、会場中が真っ白い光に包まれる。あーベアーズで観たあの風景だーと一緒にサイリウム振りながらちょっとうれしくなる。僕はきっと、飼い主たちといずこねこ(茉里ちゃんのパフォーマンスとサクライさんの楽曲)の形作るこのユートピックな光景がまた見たかったんだな。
確か茉里ちゃんがインタビューで「(こうやって何となくいずこねこの終わりが宙ぶらりんの状態だったのは)誰も実は終わらせたくなかったんだと思います」というようなことを言っていたのはすごくよくわかる。でもそれもいよいよ終わりを迎えることになる。映画のラストで流れた新曲が最後に歌われ、伝説の歌手いずこねこはユートピックな閉じた世界の扉を開け、新しい世界(木星?)へと決然と旅立っていった。

宙ぶらりんの終わりの状態が続いたこの1年、「飼い主」のみなさんどうもお疲れさまでした。でもライブは今回が終わりで一区切りとはいえまだ映画の公開はこれからだし、実はまだこれからも奇妙な終わりの日々は続くんですよね。

いずこねこセットリスト
rainy irony、e.c.l.s、white clock、(MC)、squall cut、e.c.i.n.、BluE、nostalgie el、last cat factory、(MC)、i.s.f.b.


あー、あとWWWってもとシネマライズの映画館ですよね、映画上映とライヴをどちらもそれなりのクオリティっで行うには最適な環境だったと思います。床に座布団敷いて1時間半も映画見てられるのかというのがいちばん気がかりだったのですが、開演までの余った時間で東急ハンズで値段間違えて買ったクッションが滅茶苦茶高級だったこともあり、なかなか快適に過ごせました。
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【2014/12/23 12:30】 | ライヴ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
世界の終わりのいずこねこの終わりのはじまり(12/20、渋谷WWW)その1
いずこねこを観たのは2013年の秋、ベアーズに初音階段の「からっぽの世界」のレコ発を見に行った時だ。いつものように開演時間ぎりぎりにベアーズに着くと、フロアを埋め尽くす猫耳を付けた「飼い主」の群れに度胆を抜かれたのだった。

その時のライヴのことはこちらをご覧にただくこととして、そのあと聴いた「LAST SUMMER EP」がすごく気に入ったので、どうにかしてまた見る機会がないかなーと思って活動をフォローしていたのだけど、なんだかあっという間に雲行きが怪しくなり、「いずこねこ」の存続自体が危ぶまれる状態になってしまった。だから映画の話が決まった時は嬉しかった。いずこねこ終了は止むをえない事態だろうけど、せめてその存在にふさわしい終わりを迎えてほしいと思ったし、なによりもう1回ライブを観たかったのでCampfireのパトロンにもなった。
そうして無事映画が完成して、映画の上映を兼ねたいずこねこの本当のラストライヴが行われる運びになったというので、普段はライヴのために遠出をすることのない私も渋谷まで遠征する運びとなったわけだ。

この日のイベントは3部構成になっていて、まず第一部は映画「世界の終わりのいずこねこ」に出演するアイドルたちが次々と登場する。これがバラエティに富んでいて面白かった。
まずはPIPという大人数アイドルグループ、これは濱野智史さんがプロデュースしてるやつですね。いろんなフォーメーションで歌って見飽きないんだけど、マイクは3本でよかったのかな。
プティパ!というのは、金髪のぱきっとした美少女(自称「金髪豚野郎」w)と黒髪のゴスロリ娘というリアル「下妻物語」なコンビ。ゴスロリ娘の早く帰りたいオーラ半端なくてむっちゃスリリングw 歌の方もゴスっぽいロックを百合演出で見せて悪くない。短命感漂っているけど、どっかでまた見たいなあこのコンビ。
この日一番の収穫は、映画出演者ではないけれど司会担当で登場して1曲披露した姫乃たま。「ふだん地下も地下、深海で活動しているので、こんな大勢の観客の前に出ると水圧で内臓が口から出てきそう」とか言いながら、達者なトークと地下仕込みの華麗なダンス(笑)ですっかり観客を掌握していた。この「ねえ王子」って曲、とてもキュートなテクノ調の必殺キラーチューンでたいそう気に入ったので、姫乃さんのアルバムにこの日の物販で唯一お金落としましたよ。
Peach sugar snowという小学生くらいの3人組。メロディアスな曲を、なぜかウィスパーボイスで歌う。白いミニのワンピースですらりとした足を見せて踊る姿がすごくサマになっていて、Perfumeの線を狙えそうな存在感がある。続いてclassic fairyというこちらは赤いクリスマスらしい衣装のソロアイドルが1曲、この子もしっかりしていたな。
そしてライムベリー、2MC&1DJのアイドルラップ。安定したラップスキルと堂々たるステージングで圧巻だった。正直lylical schoolと区別ついてなかったけど、ちょっと惚れましたね。よくよく考えたら新曲の「IDOL ILMATIC」とボーイタウンギャング「君の瞳に恋してる」のトラック使った曲の2曲しかやってなかったのか!いや存在感あった。
さらに出てきたのが「アイドルシンガーソングライター」みきちゅ。フリフリの衣装のアイドル然としたたたずまい、会場の盛り上がり方も全く対照的なアイドル現場に戻り、ライムベリーからの落差にクラクラきてしまう。あとでいずこねこ茉里ちゃんが「こんな組み合わせちょっと他にないよー」とか言っていたけれど、確かに。そしてみきちゅもライムベリーもかつていずこねことライブで共演し、ステージ上でもコラボしたことがあるっていうのだから、いずこねこのポジションの独自さがうかがわれる。

本日登場したすべての映画出演アイドルたちに加えて、元BiSのコショージメグミや、コショージとともにいずこねこプロデューサーのサクライケンタの新ユニットMaison Book Girlに参加する宗本花音里もステージに登場して花を添えた後、映画に教師役で出演した脚本担当の西島大介が、ステージ上のアイドルたちを侍らせて清竜人25の曲を歌う(それもフルコーラス)というなんじゃこりゃなエンディングで第一部は終了。あーおもしろかった。
世界の終わりのいずこねこのアイドルたち
記念撮影。

しかしコショージもかおりんたもやけに貫禄ある。Maison Book Girlも観たかったけど、これは別の機会かな。
さていよいよ第二部は映画なのだけど、長くなりそうなので別ポストに続きます。

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【2014/12/23 12:16】 | ライヴ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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