後藤まりこと大森靖子(5/29、梅田AKASO)
この日のステージは対バンではなく「後藤まりこと大森靖子」として演奏するということで、二人が仲良く並んで登場した時には、この二人の強烈な個性が上手く共存するのか、期待と不安が半々というのが正直な気持ちだった。
舞台上手に白いミニのドレスに素足の後藤さん、下手側に黒と赤のワンピースドレスにヒールの大森さんという並びで、後藤さんがエレキを爪弾き、大森さんアコギをかき鳴らしだす。おもむろに後藤さん「♪わたし、中学3年生」、大森さん「♪脱法ハーブ、握手会」と同時に歌いだした瞬間をうわっこれはヤバいと思った。「4がつ6日」と「音楽を捨てよそして音楽へ」というお互いのいわば自己紹介のような曲を、いつものようにお互いまったく動じず自分のスタイルで歌っている、なんという名刺交換。

2曲目「新宿」は後藤さんが歌いだしたけれど、あとは基本的に弾き語りでそれぞれの持ち歌を間髪入れずに交互に歌い継いでいく形で、その間もう一方が即興でコーラスや伴奏を付けていく。交互に歌われると後藤まりこと大森靖子の違いみたいなものがはっきりと意識させられる。直情型のシンガーに思われがちだけど、大森さんの歌の世界って、実は韜晦や修辞を周到にめぐらされたことばの世界をたぐいまれなボーカルの技で力技的に歌として成立させていると思う。僕は後藤さんの活動はミドリ時代からあまり熱心に追っていなかったのだけど、そんな大森さんの歌と続けて聞くと、その無防備なまでのストレートさが心に残った。お互いのバッキングの演奏も含めて、(これは印象だけなので実際にそうなのかどうかはわからないけれど)大森さんが非常に計算して(もしかしたら事前に準備して?)演奏しているような気がしたのに対して、後藤さんはその場の瞬発力でぽーんと思わぬ方向に飛んでいくような、野生のジャンプ力のようなものを感じた。

「m@u」での大森さんの絶叫や「Over The Party」の後藤さんのギターソロなど相手の曲にジャストでハマったっという印象的な瞬間はいっぱいあった。でも実は一番印象に残っているのはちょっと違って、大森さんが「夏果て」歌う間、ずっと軽やかなステップを踏みながら伴奏を付ける後藤さんの姿だ。「夏果て」といえば大森さんの歌の中でももっとも重くシリアスな曲で、その曲のバックで無邪気な笑顔すら見せている後藤さんの姿はちょっとショッキングですらあった。正直なところ、その場では戸惑いを感じたし、うまくいっていたのか今も判断はついていない。後藤さんの野生の怖いところだ。

50分くらい切れ目なしにテンションの高い演奏が続いて、「君と映画」のラストでふたりが目をかわしながら「靖子とまりこ、ふたりでらいぶ」と歌詞を変えて歌われる激萌えの一幕でいったん小休止、MCが入る。このMCのふたりの掛け合いが噛み合わないことこの上なく、おかしい。ちなみにおふたりとも楽天カードは審査で落とされたそうです。
ひとしきり空気が緩んだ後、「hayatochiri」から「ドローン」とまたテンションの高い終盤の演奏にすっと入っていく。大森さんの「デートはやめよう」のエンディングで激しいギターノイズの嵐に突入し、その中から静かに「桜新町2丁目」が歌いだされ、そのまま続けてオープニングの2曲が再演される。今度はいつの間にか互いのパートが交換され、後藤さんが「音楽は魔法ではない」、大森さんが「さなぎは飛ぶ」と歌う感動的なエンディング。

アンコール、大音量のカラオケであのイントロが流れた瞬間会場がどよめいた。「ミッドナイト清純異性交友」だ!後藤さんはギターを派手に弾きまくり、大森さんが絶叫する。客席ではサイリウムが振られ、ぱんぱぱん、ヒュー!で客がジャンプする、なんというファンタジックなアイドル現場! さらに止まらない拍手、客電がつき客出しのアナウンスが流れ始めたところで再度二人が登場、さすがにネタが尽きたようで、MCの時と同様のいまひとつ噛み合わないgdgdなひとときもまた楽しい。最後はなんとかオチがついたけれど、まあこの様子は実際に観た人だけのおたのしみ、ということで。
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【2014/05/30 23:36】 | ライヴ | トラックバック(0) | コメント(1) | page top↑
祝春一番2014(5/3、服部緑地野外音楽堂)
(中川イサト、押尾コータロー、)中川五郎・中野督夫・湯川トーベン・永原元スペシャルバンド、エルキュール上野とアフターアワーズSHOW、曽我部恵一、桜川唯丸一座、大塚まさじ、ハンバートハンバート、アーリータイムス・ストリングスバンド、斉藤哲夫(w/アーリータイムス・ストリングスバンド)、林亭、朝野由彦、佐藤GWAN博、いとうたかお、東京タワーズ、平田達彦、カオリーニョ藤原と中島徹、松永希

この日はもともと行く予定がなかったのでちょっとゆっくり目に、12時過ぎくらいに緑地野音に着くと、ステージでは中川五郎・中野督夫・湯川トーベン・永原元スペシャルバンドの最後の曲で、中川五郎がギターを振りまわして「90cm」を大熱演中。
この日はオリジナルハルイチ世代ともいうべき大御所がたくさん登場して、そのせいか客席は年齢層の高い方がいっぱい。こういう時はすごーくいやーな馴れ合いくさいバイブを感じてしまうことがときどきあるのだけど、この日のベテラン勢は皆それぞれのご自身のスタイルを持った演奏を聴かせてくれた。

ベテラン勢の中で個人的に大好きなのはアーリータイムスストリングスバンド。カントリーテイストの楽しいサウンドに渡辺勝の声とギターの与える異化効果が半端ない。おもしろいバンドだなあ、ドキドキする。ラストはもちろん渡辺さんの歌う「僕の家」。
高田渡や西岡恭蔵といった亡くなった仲間への追悼を込めた曲が必ず演奏されるのだけど、グッと来たのは林亭。春一番のオーガナイザーである福岡風太とともにスタッフとして開場を走り回っているその息子嵐を迎えて歌われた高田渡の代表曲「生活の柄」は、次の世代に自分たちの仕事を引き継いでいこうという意志が感じられた。
他には終盤のいとうたかおの「無分別な神の無差別な愛が今日も降り注ぐ」っていう凛とした歌も印象に残っている。

この日のお目当てその1は曽我部恵一。昼過ぎの一番熱い時間帯にセンターのサブステージで、ギター弾き語りの演奏。「満員電車は走る」の熱いシャウトや「シモーヌは恋をしてる」の甘いラブソング、何の衒いもない青臭さにいつもドキドキさせられる。ラスト「春の風」まで30分の素晴らしいステージだった。
そしてもう一組はこれまた昼下がりのサブステージに登場したハンバートハンバート。ディランの「風に吹かれて」にはじまり良成さんのフィドルと遊穂さんの凛とした歌が素晴らしい「何も考えない」に。もちろん福岡風太とともに春一番の立役者だったあべのぼるの曲で、ハンバートの新しいアルバムに収められるらしい。そしてこのアルバムからオリジナルの新曲「僕のおひさま」。これは「同じ話」に並ぶ彼らの代表曲になるのじゃないかな。  
再度あべのぼるの「オーイオイ」からゲストに中川イサト師匠を迎えて「天使のハンマー」。春一番らしいオッサン殺しの選曲ではあるけれど、ちっとも媚びるところのないいつものハンバートだっていうのが素晴らしい。いまやハンバートは春一番の顔と言ってもいい存在になった。

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【2014/05/03 21:35】 | ライヴ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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