ジャスト・キッズ
冒頭のパティの幼少期のエピソードがいい。
公園でパティは1羽の美しい鳥を目にする。興奮する娘に母が「白鳥ね」と教える。「白鳥」と口にしながら、それが自分の経験した美しさや感動を何も表していないことに苛立ちを感じ、それをなんとか表現したいという激しい欲求の芽生えを感じる幼いパティ。
そう、この物語はなによりまず、美に対する感受性の豊かな一人の少女が、さまざまな経験を潜り抜けながら世界の驚異を表す自分自身の言葉の獲得に向かっていく話である。
少女期から表現としてのアートへに傾倒していた彼女は、思わぬ妊娠・出産を機に単身故郷を離れ、NYでの半端ない貧窮生活の中で、精神的な双子ともいうべきロバート・メイプルソープと運命的な出会いを果たす。このあたりのエピソードは、どれもマジかってくらいドラマチックでおもしろい。
僕が好きなのは貧乏な二人が美術館に二人で入る金もなく、交代で一人ずつ入って、あとでお互いに報告しあっていたというエピソードだ。

そんなある日、私たちはオープンして間もないアッパーイーストサイドのホイットニー美術館を訪れた。このときは私が入る番で、ロバートと一緒に入れない後ろめたさを感じながら入場した。展示作品については、もはや思い出すことができない。が、美術館の変わった台形の窓をのぞき込み、外にいたロバートの姿を確認したことだけは覚えている。道を渡り、パーキングメーターに背を持たれ、煙草を吸っているロバートの姿を。
私を待っていてくれたロバートと地下鉄に向かう途中、「いつかは一緒に入ろう。そしてそのとき展示されているのは僕らの作品なんだ」と彼は言った。

60年代末から70年代初頭の狂騒的なNYのアートシーンを背景に、自分たちの芸術を求めるふたりの冒険が繰り広げられ、やがてそれぞれの道に別れていくことになる。ふたりの友情は80年代後半ロバートがHIVに倒れても終生変わらない。冒頭の白鳥のエピソードも、また、美術館のエピソードも、リフレインのように終盤ふたたび触れられ、感動をもたらす。
ノンフィクションだというのに、ふたりの物語はまるで小説のようにドラマチックで美しい。ただ、この古典的ともいえるビルドゥングス・ロマンを陳腐なものにしないのは、紹介されるエピソードの細部の豊かさを記すパティの視線の的確さ、そして詩的なイメージにあふれた表現力だ。この物語が上梓されたのがメイプルソープの死から20年を経た2010年、それだけの時間をかけてはじめて、二人の愛と青春のきらめきを物語として再構成することに成功したのだ。

河出書房新社
発売日:2012-12-20
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【2013/01/12 11:41】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
読書の秋(ときどき音楽の秋)その2
9/11(日)
二階堂和美さんがゲストのJAM JAMラジオポッドキャスト版を聞く。
歌と演奏の関係についての話、すごく面白い。歌ってどうしても前に出てしまうから演奏との関係に気を使うという話。
ニカさん、テニスコーツと共演するときはすっごく気をつかう(けど楽しい)って。

履正社高校で五木の模試を受けていた娘と合流して、緑地の木陰で昼食。
野外音楽堂の方から太鼓の連打の音が流れて来る。恒例の和太鼓フェスだろうか。
そのまま梅田にでて、楳図先生のミニライブ&サイン会に。楳図先生75歳のポジティヴヴァイブレーションに感嘆。
110911シュリアルナ2 110911シュリアルナ1
晩飯は梅田の第3ビル地下のシュリアルナでカレー。

ブックファースト梅田店に立ち寄り、タレント本コーナーの棚に1冊だけ入っていた早川義夫「いやらしさは美しさ」(アイノア)を確保。
表紙の列車の赤いシートで相好を崩す早川さんのスナップ写真に、ピンクの手書きの題字が色っぽくていい。

昨晩NHKBSプレミアムで録画したクロノスカルテットによるライヒ「WTC9/11」初演を見る。
すでに録音された演奏や人の声のテープにライヴの演奏を合わせる手法がミニマルなのにすごくドラマチックで面白い、でもかんじんの「WTC 9/11」まで、目を覚ましていられずに寝てしまう。

9/12(月)
帰宅後深夜、チャンネルNECOで「空気人形」。ぺ・ドゥナかわいいなーとなんとなく見るが、かんじんのここからがこの映画のキモ!というホラー展開の前に寝てしまう。

9/13(水)
大森望編「不思議の扉 午後の教室」(角川文庫)読了。
最初の方に読みやすいショートショートをおいてつかんでおき、後半の小松左京「お召し」というクラシックや平山夢明の異色作、そしてヒルの翻訳もの名編につないでいく構成がみごと。ショートショートの古橋秀之の「三時間目のまどか」がよかった。湊かなえや有川浩、森見登美彦(「夜は短し~」のスピンオフ編)は初単行本化。ヒル「ポッブ・アート」は若いじぶんに無理解な社会に背を向けてアート(小説であれ音楽であれ、映画であれ)に救いを求めたことのある人なら誰でもグッとくる作品。

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【2011/09/14 03:45】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
読書の秋その1
9/7(水)
朝日新聞の朝刊文化面、9.11以降のアメリカの文化潮流を概観する特集で、町山智浩がアメリカ映画について寄稿している。かつてよくあった単純でマッチョなアクション映画は姿を消し、正義がテロを生む「ダークナイト」のような一筋縄でいかないヒーロー映画がメガヒットしているアメリカの状況について。
そして同じ朝日のオピニオン面には、デヴィ夫人と陳健一のフィギュアを抱いてキメ顔の吉田豪が、「求む!百恵さんの引き出物」だってww

奥さんと桜塚のメルクカフェでランチ。近所のパン屋「メルク」のカフェです。
メインはハンバーガーか2種のタルティーヌ、それにサラダとキッシュ、タルト、チーズケーキのデザートがワンプレートに乗っていて、さらにスープとドリンクがついて1000円。結構ボリュームあります。
メルクカフェ

奥さんが今日図書館に返すというので、萩原健一「ショーケン」をあわてて読み上げる。
これがむちゃくちゃ面白い!
田中絹代、美空ひばり、神代辰巳、深作欣二、黒澤明…次々に語られるさまざまなエピソード。俳優・監督だけじゃなくて、しまいには政界のフィクサー田中清玄なんて名前も…。
朝昼常習していたというドラッグ絡みの話もおもしろい。大麻不法所持で逮捕された後は、一切のドラッグから足を洗ったということなのだけど、それなのに、ドンジュアンロックンロールバンドが野音でコンサートをすると観客席中マリファナの煙でもうもうと曇っていたって!さらにステージには次々と注射器や大麻樹脂が投げ込まれたって、ほんまかいなwww これ70年代の話じゃなくて80年代の話ですよ!

子供が帰ってきてから、30分くらい歩いて千里中央へ。図書館に本返して、サイゼリヤで飯食って帰る。

9/8(木)

J・G・バラード「殺す」(創元SF文庫)
ひさしぶりのバラード、すごく読みやすい。考えてみるに、昔からバラードって読みやすかったような気がする。なんというか、実も蓋もない文体って感じ。サイズとしても中編くらいの長さなので、クライマックスの犯行の再現の場面はかなりスピード感がある。
いきなり最初から犯人の見当がついてしまうので、謎解きとしていまいちなのだけど、犯人の正体は最初っからネタふってるし、動機についても捜査途中でほとんど言ってるのでたぶん最初から謎解きにウェイトを置いているのではないんだろう。
しかしこれ、発行年が88年ということにあとで気付いて愕然としたわ。設定もテーマも、四半世紀も前の作品とは思えない!

9/9(金)
新町のラクシュミでランチセット1000円。
お好み2種選べるカレーはチキンキーマと野菜。このキーマがほんとに辛かった。ごめんなさい。
120909ラクシュミ

9/10(土)
「読書の秋」ということか、調子が出てきてよく本が読める。
野村美月「“文学少女”と神に臨む作家・上」「同・下」(ファミ通文庫)を続けて読み上げる。シリーズ本編最終編は2冊もの、シリーズ最大のトンデモ設定―「文学少女」遠子先輩にどう大団円を付けてくれるのか…いやよかった、不満はないです。ラストシーンはフォークルの(もしかしたらPhewのカヴァーヴァージョンの)「青年は荒野をめざす」が高らかに鳴り響きましたよ。

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【2011/09/11 03:45】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ご臨終です/ハルヒ
5/22(土)・23(日)
連休。酷い雨。
大雨警報で休みになった娘に付き合って一日家にいて音楽聴いたり微妙に読みかけで残っていた本を片付けたり、ネットをうろついたり無為に過ごす。たんぶらっておもしろいけどやりだすときっとキリないなあ。

「バンド臨終図巻」(河出書房新社)読了。古今東西の人々の臨終のエピソードを集めて没年齢順に並べた山田風太郎の大著「人間臨終図巻」に習って、ビートルズやクレイジーキャッツからX Japan、オアシス、羞恥心まで洋邦ジャンル問わずにバンド(音楽グループ)の解散・活動休止・消滅をひたすら集めたというもの。バンドの場合は再結成やメンバーチェンジによる存続もあるので、没年齢別とは行かず結成年順に並んでいる。死に方がその人間の人となりを良く伝えるものだとしたら、バンドの解散もそのバンドの人となりを伝えるといえるのかもしれない。ただそれはその人(バンド)の仕事(音楽)とは必ずしも直接関係ないのだけれどね。人間関係のいざこざや金銭トラブル、音楽的方向性の相違というようないろんな事情があって、下世話なゴシップ的な興味と言われるかもしれないけど、これだけ量が並ぶとおもしろいです。
オールジャンルとはいえ、筆者自身もあらかじめ断っている通りジャズバンドは載っていないし、R&B・ヒップホップ系のグループもほとんど掲載されていない。個人的にはなじみの深い日本のパンク・オルタナティブ系のバンドもほとんど登場しない。
JAGATARAが載っているのはいいとして、じゃボ・ガンボスもとか、INUが載るんだったらSTALINもとかいろいろ思う。80年代のバンドブーム以前のバンドなら他にもZELDAとかタコとかはなたらしとか、バンド自体はマイナーかもしれないけど、それなりに記事としてもおもしろいものになりそうなバンドの生涯が他にもいっぱいありそうな気がする。
90年代に実際にライヴハウスに足を運ぶようになってからは、いっぱい解散してしまったバンドを見てきた。羅針盤やアンティークフォークロアのようにメンバーの死去によって活動を停止せざるを得なかったというケースは別として、ほとんどの場合はしばらくライヴやらないと思っていたら、メンバーがいつの間にかソロ活動や別のバンドを始めていて、ああ解散したんかなって気づくケースが多いです。エンジェリン・へヴィ・シロップ、有、ラフィアンズ、メンボーズ…などいっぱい。いいバンドだったのになんで止めちゃったのかと気になる気持ちは大いにあるけれど、このクラスのバンドだとドラマティックな事情ではなく、単純にメンバーが音楽活動から足を洗ってしまったというケースも多そうで、あんまりおもしろいものではないんだろう。
あ、でも完全に下世話な興味として、ボアダムスの解散の顛末は知りたいなあ。解散してないけど。
えー元ネタの山田風太郎「人間臨終図巻」は徳間文庫で全3巻です。15歳の若さで火あぶりの刑に処せられた八百屋お七から121歳で大往生を遂げた泉重千代翁まで900人の臨終のさまは圧巻。ぜひこっちも。
人間臨終図巻〈1〉 (徳間文庫) 人間臨終図巻〈2〉 (徳間文庫) 人間臨終図巻〈3〉 (徳間文庫)

中学に入った娘が、毎日読書の時間が朝10分ずつあるので何か読む本を貸してくれと言うので、角川文庫から出た大森望編の2冊の時間ものSFアンソロジー「不思議の扉 時をかける恋」「不思議の扉 時間がいっぱい」を買って渡したら、喜んで読んでくれたはいいのだけど、一番気に入ったのが下巻の涼宮ハルヒだったようす。さっそく学校の図書館で予約して読んでいるようなんだが、道を誤らせたような気が。
お父さんは、太宰治っておもしろいなあと思いました。オッサンぽくてすいません。
ハルヒ
このあいだお墓参りに山口の妻の実家に行ったとき、なぜかおばあちゃんが持ってたと狂喜してもらって帰ってきたハルヒのフィギュアです。ぱんつ見えてるし。

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【2010/05/24 23:30】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
今歌うんだ今叫ぶんだ言葉を忘れた俺の/アメリカ文学の扉を叩く
5/19(木)
「みさちゃんのこと JOJO広重ブログ2008-2010」(天然文庫)を読む。
正直なところ、JOJO広重さんの人生を語ることばは苦手だ。
なぜかと考えるに、ロックミュージシャンの語る人生のたいていが破天荒で常人離れしていることが多いのに、JOJOさんのことばが、その過激な音楽活動とうらはらに、しごく真っ当に、普通に人生を生きることの大切さを突いてくるからだろう。この本ではJOJOさんの子供時代や学生時代の思い出話がすばらしく精細にみずみずしく語られるのだけれど、読めば読むほど自分自身の人生の薄っぺらさを責められているような気になってしまうのだ。

かっこわるくてもいい。ヘタクソでもいいのだ。誰かのまねごとでもかまわない。そのうちに自分の言葉に、自分の歌になるから。失敗したってかまわないから。


後半あまり出てこないが、オカルトめいた体験を語るJOJOさんの語り口が好きだ。
ドッペルゲンガーに出あったり、毎晩のように通り過ぎるモノの下に生活したりと、一般的に「心霊体験」と言われるような不思議な体験を紹介しながら、JOJOさんはそれを何か結論付けたり、因縁話に回収することはなく、ただただそこにあるものとして描きだす。自ら占い師として活動もされていると聞くのに、最近ありがちな俗流スピリチュアルズムとは確実に一線を引いた姿勢が興味深い。

前世が何であろうが、霊がついていようがいまいが、家に邪気を感じようが、そんなことはどうでもいい。そんなことに左右されない自己があれば、どんなことでも乗り切れるさ。墓を立て替えたところで、高価なハンコを買ったところで、そんなもので幸せになってなんになる。

「科学と神秘のあいだ」の菊池誠さんの言葉を借りて言えば「神秘は人の心の中に存在する」ことをよくご存知なんだと思う。

5/20(金)
休み。昼前に、さあ今日はどこのカレーを食べようなどとぼんやりしていたら、さる偉い筋からお叱りのメール、書類に大々的に抜けがあるとのことで、あわてて髭そってネクタイ締めて市内某所に参上する。

いい天気、つうか暑いねえ。夏だよ。
用事をさっさと済ませて、ネクタイをはずし、心斎橋のStandard Bookstoreでぶらぶら。
100521StandardBookstore
地下のカフェでチキンカレー。単品で700円、セットだと1品とコーヒーで1100円とちょっと張りますね。カレーはチキン・ジャガイモがゴロゴロとしっかり主張していて美味。
アイスコーヒーすすりながら購入したブローティガン「芝生の復讐」 (新潮文庫)をぱらぱら。
これおもしろいよー。冒頭の表題作の痛快さに引き込まれ、2篇目、3篇目とおもしろいおもしろいと読み進んでいくうちに、6編目の妻に逃げられた男がモンタレー湾岸でビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」のかかっているラジオに火を放つ「太平洋のラジオ火災のこと」って話(泣ける!)で気づいた。これ文庫出た時に買ってるわ。読みかけのままどこかに眠ってるはず。
これこれ、ブログ内検索をするでない。

スタンダードブックストアを出たらすぐ韓国総領事館なのだけど、御堂筋をはさんだ向かいで拡声器持ってデモの人々。最近ちょくちょく見かける人たちだ。あまりに汚い言葉遣いにせっかくの楽しい休日気分に泥をかけられたようないやーな気分に。
銀行で税金払って帰宅。

夏草
裏の畑の草むらに足を踏み入れると、大きなカエルがいっぱい跳ねて逃げていった。
春はおわり、もう夏なのだな。
夜になると盛大なカエルの合唱、聞きながらその前に梅雨があるんだと思い出したり。

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【2010/05/21 23:30】 | | トラックバック(0) | コメント(2) | page top↑
ドロー・ザ・ライン
5/16(日)
「風邪」がなかなか直らず、咳と鼻水が続く。
これって本当に風邪か…?

なんばの大阪なんばカレー食堂で旨辛キーマカレー650円。キーマが少なくってなんだか微妙。
100516大阪なんばカレー食堂
ところでこの店は店名と違って本当はカレー鍋専門店のようなんだけど、カレー鍋ってなんだろう。

ベアーズでライヴ。

5/17(月)
今日も暖かい。休みだけど家にこもってるのももったいないので自転車で散歩。

東豊中6丁目のCurry Styleでビーフカレー750円。
100517Curry Style
フルーティで辛い、普通に美味い洋風カレー。ビーフも柔かくておいしい。
辛さは「ちょい辛」にしてもらってちょうどいい塩梅の辛さ。
家から最寄のカレー屋さんになるのかな。もう100円安ければ休みのたびに通っても良いかも。
店の名前は本当はNatural Styleといって夜はバーとして営業しているようです。

特にあてもなく千里中央まで出る。
田村書店で本を物色。
広場のベンチで缶コーヒー飲みながら、購入した菊池誠「科学と神秘のあいだ」(筑摩書房)を読む。ニセ科学に対して声高に「それは科学じゃない」と断罪するのは、善意でそれに取り込まれている人々にとって有効ではなく、逆に「科学的である」ことから人を遠ざけてしまうという反省から書かれた本なんだろうな。「9・11陰謀説」「月着陸捏造論」「水からの伝言」「フリーエネルギー」「ホメオパシー」「天皇家のY染色体説」など重要なニセ科学トピックスにはひととおり触れながらも、この本の主眼はそれらを検証して断罪することにあるのではない。科学的な姿勢・考え方や、逆にそういったニセ科学に人が惹かれるプロセスとそれに対して「科学的である」ということがどういうことかを柔かくあちらこちら回りながら説いていく。おもしろかったのは月着陸の「リアル」についての話、そして「折り合いをつける」話。たとえば1/f揺らぎのような与太っぽい科学風の説明によって音楽の心地よさを説明されたとしても、それはロックの神秘とは無関係だということ。なぜなら神秘はいつも個々の人間の心の中で起こることだから。こうして我々は科学の領分と神秘の領分に折り合いを付けていかなくちゃならない。ただその神秘の例がウィッシュボン・アッシュってのはどうかと思うけど(笑。神秘は個人の心の中にある、という例証ですから。
表紙は西島大介のイラストがかわいいです。
ほかにバージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」 (光文社古典新訳文庫)古川日出男「MUSIC」(新潮社)を購入。

昨日のライヴ会場で、JOJO広重さんからここ2年のブログからのセレクトにボーナストラックを加えた「みさちゃんのことJOJO広重ブログ2008-2010」という本を購入した。
JOJOさんのブログはちょくちょく拝見するんですが、実はあんまり定期的に他の人のサイトを追っかけることがないんで、初めて読む文章もいっぱいありそう。楽しみ。
倉田江美先生のイラストを使った表紙がとってもプリティな文庫本です。オンデマンド出版なので、この下のリンク先から買えるのですけど、僕はご本人から手売りで買えたのがうれしかったな。JOJOさんのサインと表紙の別バージョンを付けていただけました。アルケミーのサイトから買えばこの特典があるようです。

テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

【2010/05/19 01:13】 | | トラックバック(0) | コメント(3) | page top↑
YAWARA、その愛。
5/10(月)
なんだかなあ。スポーツ選手やら落語家やら歌手やら、名前があればいいというもんなのか。
別にアスリートやタレントに政治語る資格がないというつもりはないけど、いままで政治とは縁もゆかりもなかったような人たちが、みんな大真面目にヤル気満々というのがさらにムカつく。アホらしくて投票意欲大いにそがれるわ。どうせならユーヤさん、出てくれないかなあ。

5/11(火)
安田謙一・辻井タカヒロ「ロックンロールストーブリーグ」(音楽出版社)を読んでいる。安田さんの音楽関係の文章と言えば集大成ともいえる「ピントがボケる音」がすごかったんだけど、今回は「ロック漫筆家」の面目躍如とも言えるさらにええ湯加減の音楽関係の駄ばなしばかりで、どれも絶妙な塩梅。
たとえば「人間レコード音楽サウナ」と題された第84回、夢野久作の「人間レコード」の話で始まりどういうわけか十三のサウナの「α波音楽」の話に移っていく展開なのだけど、これが無理なく絶妙なのだ。ちゃんと最後にサウナのある十三からの連想で海野十三に引っ張ってくるあたりの戻し方も絶妙なら、そのあとのオチの付け方も絶妙。そして辻井さんのマンガとタイトルイラストも素晴しい。
合間に「夭折のロックスターぬりえ」なるページが挟まっているのですが、ふざけた見かけによらず、けっこうマジです。フレディ・マーキュリーの回なんかかなりグッと来ます。

5/12(水)
ということで、「en-taxi No.2(SUMMER 2003)」を引っ張り出してきて、話題になっている吉田豪の唯一の小説作品「YAWARA、その愛。」を再読する。国民的女子柔道家との交際(?)が発覚した野球選手ヨシ君(仮名)がその背後にある国家的な力と愛に気づくまでを描く味わい深い作品。先日の会見の様子を思いながら読むとよりいっそう味わい深い。
「en-taxi」はサイズが小さかったときはわりと買ってたんだんけど、大きくなってから本屋で目にはいらなくなって読まなくなってしまった。まだやってるのかな。しかし「en-taxi」のこの号凄いぞ。特集が柄谷行人×福田和也によるイラク攻撃批判と大竹伸朗というのもなんかすごいが、YAWARAちゃん(仮名)関係では姫野カオルコが谷亮子と並べて紀香のあり方を論じたエッセイも鋭い。
舞城王太郎の「W」という短編が載っていて、読んでいなかったことに気づき、読んでみたら、狂いまくっていた。

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【2010/05/13 16:29】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ビッチマグネット
1/9(土)
世間は3連休なのだけど、正月で多少不規則に休みがあったり、出張があったりでロクにデスクワークが片付いてないので、いちにち仕事に精を出す。

帰りの電車で舞城王太郎「ビッチマグネット」(新潮社)読了。
買った時に主人公が弟の元カノジョのもとに乗り込むシーンあたりを立ち読みして、ああこりゃ「桃尻娘」みたいな女の子の語りによる痛快青春小説や、と思ってたんで、芥川賞の候補になった時に微妙に違和感があったんだけれども、実際読んでみたら、最初から最後まで徹底して「物語を語ること」について語りっぱなしのメタフィクションであった。しかも、それでいて間違いなく主人公が成長する痛快青春小説だったりするからオドロキ。
あいかわらずのまっすぐなスピード感が圧倒的で、たいへん面白うございました。

正論ってのは他人を正すためにあるんじゃないんだよ。正論ってのはあくまで自分っていう潜水艦の周囲の状況を確かめるために発信するソナーなんだよ。自分が正しいと感じる、信じる意見をポーンと打って、返ってくる反響で地形を調べるのだ。ソナーで道が開けるわけではない。

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【2010/01/10 22:08】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
まなづる
川上弘美「真鶴」 (文春文庫)再読。
前回読んだ時は現実と幻想の区別のない描写にまず度肝を抜かれたのだけど、今回はたとえば最終章の爽快さとか、独自の言葉遣いで描かれた官能の濃厚さなどにはっとさせられたのであった。
読み終わるまでに時間がかかったけど、決して読むのに時間がかかったわけではない。単純にこっちの問題で、ジリジリして、本を読むような気になれずに(また、文章も書く気になれずに)電車の中でパソコン開くとスパイダソリティアばかりやる日が続いたのだ。今もあんまり変わらないけれど、実は読み出すとするすると読める。川上弘美って凄いなあと思う。

ということで川上弘美「ハヅキさんのこと」 (講談社文庫)購入。
あともう一冊桐野夏生選の短編アンソロジー「我等、同じ船に乗り心に残る物語―日本文学秀作選 」(文春文庫)、まあひさしぶりにちゃんとしたアンソロジー読んでみたかったんです。
有島武郎なんて読みたくないです。こんな気もちに余裕のないときに。

「ユリシーズ」という新しい音楽雑誌が出ていた。ほとんどひとりのインタビュアーが西海岸で集めてきた思い入れたっぷりの特集「フリー・フォーク」。力はいってる。いまいち得意な分野じゃないんだけど、とりあえずデヴェンドラ・バンハート聞きなおしてみようかねえ。

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【2009/11/21 01:22】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
巨大仏/OMOIDE
宮田珠己「晴れた日は巨大仏を見に」 (幻冬舎文庫)読了。なんでもない風景のなかに突如ごんぬずばあと暴力的な禍々しさで登場する巨大仏の意味(または無意味)をなんとなくいい湯加減の筆致で追求した労作。
我々が巨大仏やら廃墟やら太陽公園やらに惹かれるのは、そこにはからずも露呈する「ふるさと」(坂口安吾)のためだ、という筆者の意見にはおおむね賛成。ただバブル期以降物語や意味を経ずに風景を廃墟のように見る視点が現れたという主張にはもうちょっと細かい腑分けが必要かと思った。そういった見方は80年代初頭から一般的になったものだし(cf.「AKIRA」「ブレードランナー」)、バブル期以降・震災/サリン以降・2000年代以降とどこで区切るかはともかくとして、現在のそれとの連続性についてはもうちょっと検証が必要だと思うからだ。

今日もいい天気。昨日に引き続き会議。
会議後の移動のついでに、なんばでベアーズに立ち寄って12月の想い出波止場の前売を購入。
予約不可、前売券は店頭売りのみとあって、売れ行きは鈍いらしい。この週は平日も土曜も行けそうにないので日曜日の「Alternative」(もしくは「Spanish Sur realismo version」)だけとりあえず購入したのだけど、ナンバリングの番号(整理番号ということではないらしい)は20番だったので、まだまだですね。
ベアーズの想い出波止場は97年のベアーズ10周年記念でOOIOOやDMBQとやって以来じゃないでしょうか?2000円というチャージも大変お得感あるし行くべきですよ。でもほんとに想い出波止場の本領発揮なのは、むしろきっと前半のオリンピックに夜店。私は行けないけど。

難波BEARS想い出波止場4DAYS
12月3日(木)
 津山篤・プロデュース「2009 ~大阪オリンピック~」
 open 18:30/start19:00|adv \1500/door \2000
12月4日(金)
 山本精一・プロデュース 「夜みせ怪人天国会」
 どらビデオ+山本精一、よのすけショウ、各種夜店
 open 18:30/start19:00|adv \2000/door \2500
12月5日(土)
 想い出波止場(underground)
 open 18:30/start19:00|adv \2000/door \2500
12月6日(日)
 想い出波止場(Altanative)
 open 18:30/start19:00|adv \2000/door \2500
※前売り券は販売のみ。
詳しくはベアーズ(06-6649-5564)まで。



しかし、あのカメイって人なんであんなに態度でかいの?
選挙負けてるくせに。

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【2009/10/24 01:12】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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